本記事は、芳月健太郎氏の著書『時間デザイン』(同友館)の中から一部を抜粋・編集しています。

時間,ビジネスマン
(画像=Quality Stock Arts/stock.adobe.com)

成功の反対は「時」を無為に過ごすこと

「私は失敗したことがない。うまく行かない1万通りの方法を見つけたのだ」。

これは誰の言葉かご存じでしょうか?

そうです。発明王エジソンの言葉です。

当初の彼は、「人が空を飛べる薬を友人に飲ませて、腹痛を起こさせ大騒ぎになる」「駅の夜間電信係の仕事を自動で電信する機械をつくって、その後、通信ミスを起こす」など、様々な失敗を繰り返します。

その後、彼は人が喜ぶ発明でなければ意味が無いことを悟り、発明した株式相場表示器の特許が莫大な額で売れ、そこから本格的な発明家としてのキャリアが始まります。

エジソンがたくさんの失敗をしたことはよく知られていますが、人が喜ぶ発明でなければダメという学習がその後の成功に結びつくのであれば、それまでの失敗は本当に失敗と言えるでしょうか?

答えは、あなたもお察しの通り失敗ではなく、むしろ「無形の資産」を貯めていたとも言えるはずです。投資して何かをインプットし、それを自分なりに創造することが必要と先述しましたが、そのアウトプットはブログなどの発信、何かのサービスをリリースするなど、何かをアウトプットすることです。

ブログであれば、「いいね!」がたくさんつけば成功であり、サービスであれば想像以上に売れれば成功です。

しかし、これらの成功は失敗の上にしか存在できません。

投資して何かをアウトプットした結果、それが成功であれ、失敗(に見えること)であれ、あなたの中には経験という資産が貯まります。

その経験は、成功であれば、具体的に得られた売上や評判、うまく行く方法やノウハウの確立、そして自信などでしょう。しかし、失敗(に見えること)でも、「うまく行かない経験」をシェアできればそれは立派に人の役に立つし、次のアイデアの元にもなります。では、本当の失敗とは何でしょうか?

それは「挑戦しなかったこと」です。

言い換えれば、投資→創造→発信→収入のサイクルを回さないことなのです。

サイクルを回していけば、その結果が成功であれ失敗(に見えること)であれ経験という資産が貯まります。そして、この資産からあなたが本当に望む「結果」が生まれるわけです。

反対にサイクルを回すことをしなければ、何の経験も得られず時だけが過ぎていきます。そして「時は金なり」の「時」が無為に過ぎれば、経験から生まれる「お金」が得られることはないのです。

●夢無き者に成功なし

私の両親は山口県生まれです。私も物心つく頃から「吉田松陰先生」の教えを何となく耳にしていたのか、この時間デザインの原点は彼の名言が大元だったのかもしれません。

それは、
夢なき者に理想なし、
理想なき者に計画なし、
計画なき者に実行なし、
実行なき者に成功なし、
故に、夢なき者に成功なし。

という言葉です。

時間デザインの本質とは、夢と成功の間にある計画と実行を「時間」というツールで回すことですが、吉田松陰先生の教えを逆から読んでみると、きっとあなたも時間デザインというプロセスの必要性をご理解頂けるのではないでしょうか?

それは、

成功する者に実行あり、
実行する者に計画あり、
計画する者に理想あり、
理想ある者に夢がある。

です。

成功哲学や自己啓発の世界では、よく「実行が大事だ」と声高に叫ばれることが多いですが、多くの人が、夢や理想があっても行動できないのは、計画がうまく描けないからです。

「未来を考えるといっても、せいぜい1週間程度」
「2週間タイムテーブルの“創造性を要する時間”に、何をして良いかわからない」

「3ヶ月や1年先なんて想像もつかない」

のは、やはり計画という点で準備が不足しているのです。

●夢の実現を阻む原因はすぐわかる

また、先述の収入支出サイクルを逆回しで考えてみてください。

もし、あなたが思うような結果が得られないとき、「投資→創造→発信→収入」を逆から見たとき、必ずどこかにボトルネックがあるはずです。

思うように収入が上がらないのは、「発信」していないからではないですか?
思うように発信できないのは、「創造」していないからではないですか?
思うように創造できないのは、「投資」していないからではないですか?

このように自分の活動のサイクルを逆回しで見てみると、必ずどこかに問題点があるはずです。

私は起業して自由に生きたいという人に年間約200人に会いますが、思うように結果が出ない人を見ると、必ずこのサイクルのどこかに問題があるのです。

そして、あなたにとってのボトルネックがわかったら、さっそくあなたの今後1年を考えてみましょう。

この先1年をかけて、そのボトルネックに対してどんな手を打ったら良いでしょう?

もし、「発信がうまくできない」としたら、何に投資してみますか?

ブログなどのライティングをもう一度習ってみますか? あるいは、以前から温めていたアイデアでコミュニティづくりに向けた活動を始めてみますか?

また、それによって、どんな結果が生まれそうでしょう?

それはいつ頃になりそうでしょう?

こんな感じで「1人戦略会議」を開いて、1年というスパンで逆算してみましょう。今が1月として、12月までに結果が欲しいのなら、その間のいつ頃、どこに投資してインプットをしましょうか?

もし、逆算してインプットは3月から始めた方が良さそうなら、1年の予定にざっくり矢印を引いてみてください。それまでに必要な投資先のリサーチや今の仕事の予定も向こう3ヶ月分、逆算して入れてみましょう。

そして、直近の2週間をタイムテーブルに描いてください。

こんなふうに時間をデザインすると、あなたも理想に向けた第一歩を「すぐに」踏み出すことができるようになると思います。

時間デザイン
芳月健太郎
博報堂グループなどでプランナー、プロデューサー、マーケティング部門責任者を歴任しながら23年の広告業界を経て現職。株式会社ライフワーカー&アソシエイツ代表取締役。グロービスMBA1プログラム修了。著書には「企画で勝負をしている人のアイデアのワザ(明日香出版社)」「最強コンセプトで独立起業をラクラク軌道に乗せる方法(セルバ出版)」などがある。

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