本記事は、越川慎司郎氏の著書『最強の時短仕事術46』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

会議
(画像=mapo / stock.adobe.com)

決定会議は午前11時まで

効率的な作業環境を維持するために時間管理は欠かせません。1日の中で最も重要な時間帯は「午前中」です。そして、その中でも特に重要なのが「午前11時まで」です。この時間帯に決定会議を行うことで、ビジネスの効率と効果が大幅に向上するという事実が、私たちの再現実験によって明らかになりました。クライアント企業218社での調査の結果、以下の4つの重要な効果を確認することができました。

1. 集中時間を確保できる

午前中の会議は、午後の業務に影響を与えることが少ないため、スムーズな業務遂行につながります。会議が終わった後、午後に向けてタスクを整理し、計画を立てることができます。これにより、午後の作業に集中しやすくなり、全体の業務効率が向上します。

2. 迅速なトラブル対応ができる

午前中に決定会議を行うことで、緊急事態やトラブルが発生した場合に、迅速に対応できる可能性が高まることが確認できました。もし会議が午後に行われた場合、緊急事態が発生した際に対応が遅れる可能性もありました。午前中に決定会議を済ませておくことで、問題発生時の対応力が高まり、全体の業務効率が向上することがわかりました。

3. 他部署との連携がスムーズになる

午前11時までに決定会議を行うことで、他部署との連携もスムーズになります。会議が早い段階で終われば、情報共有や連絡事項を早めに伝えることができ、他部署も対応が早まります。これにより、全体の業務の進行が円滑になり、時間の無駄が減少します。

4. メンバーのストレスが軽減する

午前中に決定会議を行うことは、働くメンバーのストレス軽減にもつながります。会議が長引くことによる疲労感や焦りが軽減され、仕事に対するモチベーションを維持しやすくなります。また、決定が早く下されることで、各メンバーの業務処理の計画が立てやすくなることが判明しました。

以上の4つの効果を通じて、午前11時までに決定会議を行うという行動は、時短だけでなく、業務全体の効率化に好影響を与えることがわかりました。それぞれの効果は相互に関連し合い組織全体としてのパフォーマンスを高めていきます。

さらに、このアプローチは、文化づくりや働き方の改革にもつながります。午前中に重要な会議を行うことは、タイムマネジメントの重要性を全メンバーに示すとともに、効率的な業務遂行のための規範を根付かせることになります。これにより、メンバー個々人が自身のタスク管理を改善し、業務の効率化を図ろうとします。

また、トラブル対応の迅速化や他部署とのスムーズな連携は、組織内のコミュニケーションを改善し、問題解決能力を向上させます。これにより、逆境に強い組織(レジリエンス)となり、変化するビジネス環境に迅速かつ効果的に対応することが可能になります。

さらに、メンバーのストレス軽減は、従業員満足度の向上、離職率の低下にも影響します。会議を通じてストレスを軽減することは、組織の生産性を高める上で重要です。

ココがポイント
  • 午前11時までに決定会議を行うことは、業務効率化だけでなく、組織の健全性、社員の満足度向上などの多くのメリットをもたらす

キッチンタイマーで会議を25%削減

会議はビジネスの中で重要な役割を果たしますが、効率的な会議の運営は難しく、無駄な時間が生じることも少なくありません。予想以上に議論が長引き、予定時間を越えてしまうことが多いのが現状です。375社を対象にした社内会議の調査を行いました。驚くべきことに予定通り始まる会議は全体の43%しかなく、半分以上は遅れて始まっていたのです。また、社内会議の71%が60分でセットされていることがわかりました。多くの人が当然のように60分で設定しているのです。早く終えることができる会議も60分間使い切ろうとしてしまい、予定時間を越えてしまう傾向にあることがわかりました。与えられた時間を使い切ろうとしてしまうことを「パーキンソンの法則」と呼びます。

会議は長ければ良いというものではありません。長い会議は参加者の集中力を低下させ、議論の質を落とします。それに対して、短い会議は参加者の意識を高め、議論が集中し、決定が早まります。それならば、60分の会議を短縮できないかという考えのもと、87社で行動実験を行いました。

その実験の中で会議時間の効率化を目指し、60分で設定されていた会議時間を45分にしたところ62%の会議で成功しました。60分を45分にすることで単純に25%の時短ができたのです。会議時間を短縮したことにより参加者の当事者意識が高まり、結果的に議論が集中し、決定が早まりました。短い時間内で成果を出さなければならないという緊張感は、本質的な議論に集中する傾向になることを確認しました。

また、15分の余裕が生まれることで、次の会議までの移動時間や、会議の反省・振り返りの時間を確保できるようになりました。これにより、会議の質が上がり、次回の会議の準備もスムーズに行えるようになったのです。

この45分会議を成功させるために役立ったのが、キッチンタイマーでした。キッチンタイマーは会議の時間制約を具体的に視覚化し、音で知らせることですべての参加者に時間の経過をはっきりと認識させたのです。会議開始時に40分のタイマーをセットし、それが鳴るまでに議論を行い決定を下すようにしました。会議終了の残り5分で音が鳴ったら、まとめをして次のアクションの確認をするというルールを設けました。すると、参加者が時間内に結論を出すという目標に向かって効率的に話し合う傾向になることを確認できました。

キッチンタイマーを用いた45分会議は、単に時間を削減するだけでなく、会議の質を向上させる効果もあります。時間の制約があることで、議論が集中し、重要な議題に対する決定が早まります。また、会議の進行をタイマーで管理することで、すべての議題が適切に議論され、無駄な時間を避けることができます。

時間を図る道具としてキッチンタイマーを使った理由は2つです。1つは、残り時間が可視化されることです。特にアナログのキッチンタイマーの方が視覚的に残り時間がわかりやすくなることがわかりました。2つはコストパフォーマンスです。キッチンタイマーは100円ショップで調達可能で、自宅や職場の各会議室に設置しても大した金額になりません。導入ハードルを下げるためには、安価で効果が高いキッチンタイマーが最適だったのです。

キッチンタイマーを用いた45分会議は、会議の質と効率を同時に向上させることができました。必要最低限の時間で会議を行い、制限時間を意識することで生産性が向上します。合わせて会議に集中することにより、決定やアクションにつなげることが可能となります。

ココがポイント
  • 100円のキッチンタイマーで会議が間延びするのを防ぐことができる
『最強の時短仕事術46』より引用
越川慎司(こしかわ しんじ)
株式会社クロスリバー 代表取締役
国内外通信会社に勤務し、2005年にマイクロソフト米国本社に入社。のちに業務執行役員としてPowerPointやExcel、Microsoft Teamsなどの事業責任者。2017年に株式会社クロスリバーを設立。世界各地に分散したメンバーが週休3日・リモートワーク・複業(専業禁止)をしながら800社以上の働き方改革を支援。
著書25冊。フジテレビ「ホンマでっか⁉TV」の準レギュラーなどメディア出演多数。「タイムマネジメント」や「資料作成術」などのオンライン講座を年間400件以上提供、受講者満足度の平均は96%以上。

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