本記事は、北 宏志氏の著書『新しい教え方の教科書』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

Businessman using Smart Phone with the email, call phone, address, Chat message icons
(画像=Oatakoi / stock.adobe.com)

メール、電話、チャット、口頭のうち2つを使用し、伝わっているかを確認する

令和の教え方の基本をお伝えしてきましたが、残念ながら、これらの基本をすぐに実践したとしても、部下が突然成長するわけではありません。指導・教育に必要なのは、教えることではなく、〝教え続けること〞。一度教えて終わりではなく、教えたことが定着しているか、つまずいているところはないかを確認しながら、反復することが大切です。ここでは、教え続ける上で重視しておきたいポイントをお話しします。

早速取り上げるのは、指導・教育したことがきちんと伝わっているかを確認する、シンプルな方法です。それは、メール、電話、チャット、口頭という4つのツールのうち、2つを使用し、教えたことが理解できているかを確認するという方法

ポイントは、2つのツールというところにあります。

皆さんはこんな経験はありませんか?

口頭で上司とやり取りをした際には、疑問点もなかったし、やり方も理解していた。しかしそれを第三者にメールで伝えようとしたら、うまく書き出すことができなかった。

会話の流れの中では特に違和感を持たなかったことも、文章にする際、もう一度自分の頭の中で整理をすると、気になる点が出てくるという経験がある人は多いでしょう。

逆に言えば、きちんと理解ができていれば、異なるツール上で説明をしても、問題がないということ。

だからこそ私は、指導・教育した内容を2つのツールで確認することを推奨するのです。特に、電話と口頭という音声による伝達と、メールとチャットという文章による伝達を組み合わせることで、部下の理解度がどの程度なのか確認するのが良いでしょう。

1週間全てを報告させて「何が必要か」ではなく「何がいらないか」を検証する

仕事を始めたばかりの新入社員や若手社員を指導・教育するマネジメント層の方とお話をしていると、「最近の若者は、報連相すらできていない」という声を聞くことがあります。報連相をどのレベル感でするべきなのか、どんな内容が報連相の対象になるのかは、ルール決めと定義付けをし、上司・部下の間できちんとコンセンサスを取っておくことが重要です。

でも、それよりも前の段階で、そもそも報告や連絡、相談をすること自体に慣れていないというZ世代の若者たちの場合、ルールや定義よりも先に、やるべきことがあります。それが、まずは報告をすることを習慣化させ、報告の粒度を学ばせること

そのための下準備として、例えば、1週間の行動や成果を全て上司に報告をさせるという方法があります。部下側に些細なことであれ、まずは全てを報告するという癖を付ける訓練です。これにはマネジメント側に、部下からの報告の粒度を整えていくという狙いもあります。

ここでのポイントは、報告してきた内容の中で、「これは必要」だというものを伝えるのではなく、「この報告はいらない」と判断できるものを見つけ、部下に伝えること。必要なものは時と場合に応じて変化しますが、確実に不要なものはこの段階である程度判断できるはずです。

また、この方法は、指導・教育の初期段階から、〝不要なもの〞を明確にすることで、若者たちが無駄に悩んだり、迷ったりする可能性を下げられるという点で、コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスといった効率の良さを重視するZ世代にぴったりの方法でもあります。

そしてもう1つ、マネジメント側は部下の報告をしっかりと聞き、理解している、共感しているという姿勢を示すことを忘れないようにしましょう

新しい教え方の教科書
北 宏志(きた・こうじ)
(株)ポールスターコミュニケーションズ代表取締役
人材育成コンサルタント
大学卒業後、立命館大学に関係する中高一貫校で6年間社会科教諭として勤務。その後、「ララちゃんランドセル」を製造・販売する(株)羅羅屋に転職。中国での3年間の駐在中は経営幹部として部下80名を束ね、中国国内の売上を3年間で9.7倍に拡大させ黒字化させる。帰国後、日本とアジアの架け橋となり、教育をより良くしていきたいという思いから、人材育成コンサルタントとして独立。 現在は、Z世代の若手社員の研修を中心に全国35都道府県で600回以上の登壇実績を持ち、これまでの受講生は17,000名を超える。受講者にやる気スイッチを入れる熱血講師として定評があり、「研修業界の松岡修造」の異名を持つ。大手企業や各種団体から依頼される研修・セミナーのリピート率は90%を超える。離職率低下の実績も多数。

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