本記事は、内藤誼人氏の著書『「なまけもの」のやる気スイッチ』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

空想
(画像=Liubomir / stock.adobe.com)

おかしな空想をしていると、行動力が奪われてしまう

みなさんは、守株待兎しゅしゅたいと という言葉をご存じでしょうか。

たまたま切り株で転んだうさぎを捕まえることができた人は、それからずっと切り株のそばで兎が来るのを待ち続けた、という逸話に由来する言葉です。一般には愚か者がすることを意味します。

自分の人生というものは、自分で切り開いていかなければなりません。

たまたま幸運なことが起きたからといって、それがいつまでも続くわけがないのです。

自分で行動するからこそ、道が開けていくというものです。

女性は男性に比べると、あまり行動力がない傾向にあります。自分から率先して何かをしようという気持ちが男性よりも弱いようです。

なぜ女性のほうが男性よりも行動力がないかというと、アメリカにあるラトガース大学のローリー・ルドマンによると、女性は男性に比べてロマンチックな空想をしがちだからというのです。ルドマンは、77人の女子大学生にシンデレラや眠れる森の美女などのテーマに見られる、白馬に乗った王子さまのような人がいつの日か自分を迎えに来てくれると思うかどうかを聞いてみました。

すると、そういうロマンチックな空想をよくする人ほど、学業での成功も、お金も、地位もあまり求めないことがわかりました。

ロマンチックな空想をする女性は、自分で努力をして何かを得ようとするのではなく、 王子さままかせなのです。つまりは他人依存の傾向が強かったのです。

ロマンチックな空想というと聞こえはよいのですが、よくよく考えてみると、それは妄想にすぎません。現実には、めったに起きないようなことを夢見ていたら、自分で行動しようという意欲が生まれないのも当然だといえるでしょう。


「道端に3億円くらい落ちていないかな」
「だれか気のいいお金持ちが、私のことを養子にしてくれないかな」
「宝くじで1等が当たったりしないかな」

こういう空想は楽しいかもしれませんが、自分の行動力を奪ってしまうという点では明らかにマイナスです。そんなことを妄想していたら、行動的な人間にはなれませんので注意してください。

幸運なことが次から次へと起きてくれるのなら、ラクな人生を送ることができるかもしれませんが、現実にはそんなことは絶対に起きません。1回くらいなら起きるかもしれませんが、それが連続することはないでしょう。

自分にとって都合のいいことばかりを妄想する人は気をつけてください。そういう妄想が自分のやる気を奪っているということは十分に考えられることです。

ポイント
ロマンチックな空想を多くする人は危険
行動意欲が低くなる可能性がる

遊びの要素を加える

やる気を出したいのなら「ゲーム」の要素を付け加えるといいでしょう。

運動をするのが億劫だと思う人でも、ゲームなら違います。

毎日、何キロもウォーキングやジョギングをしなければならないと思うと、やる気が出ませんが、ゲームならどうでしょう。ゲームなら面白く取り組めるのではないでしょうか。

アメリカのオハイオ州にあるケニオン大学のパトリック・エウェルは、2016年にリリースされたスマホのアプリゲーム「ポケモンGO」についての調査を行っています。

「ポケモンGO」を1か月以上プレイしている人に尋ねたところ、ゲームをする時間が長くなるほど、人生の満足度も高くなり、バイタリティも高くなったそうです。

「ポケモンGO」をプレイするためには、外に出ないといけないので、それによって身体を動かすようになり、しかも他の人とのやり取りも増えたそうです。

友人だけでなく、面識のない人ともやりとりが増えたというのですから、良いことずくめだと言えます。

アメリカにあるスタンフォード大学のティム・アルソフによりますと、「ポケモンGO」の人気が絶頂となった2016年の夏には、アメリカ全体で1,440億歩のウォーキングが行われていたそうです。これはすごいです。

ウォーキング用のアプリゲームには、他にもドラゴンクエスト・ウォークというゲームもあります。

ただウォーキングするだけでは「めんどくさい」と感じて、いまいちやる気も出ませんが、外を歩き回ることにより、主人公(自分)の経験値がアップして、どんどん強くなっていくのだとしたら、ウォーキングも楽しめます。

健康のためにも、ダイエットのためにも運動をしたほうがいいことはだれでも理解しているのですが、なかなかそれを習慣づけるのは難しいでしょう。

けれども、ゲームをしているのだと考えれば、楽しく継続できます。楽しいことをしているのですから、つらさのようなものは感じなくてすむのです。

「仕事がキツイ」と感じる人は、仕事だと思うからキツイのです。

仕事ではなく、遊んでいるのだと考えてみてください。仕事をすることによって、自分の職業スキルがアップするゲームだと考えるようにすると、いつもの仕事の意味づけが変わり、楽しく仕事ができると思います。

ほんのちょっと自分の思考法を変えてみるだけで、仕事は仕事でなくなり、楽しい作業になるはずです。もし仕事が苦行だと感じるのだとしたら、それは考え方が悪いのです。

苦行ではなく、ゲームです。そんなふうに考えるのがコツです。

ポイント
仕事をゲームとして考えてみる
仕事をすることで職業スキルが上がると考えてみる
「なまけもの」のやる気スイッチ
内藤 誼人
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。
社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。
趣味は釣りとガーデニング。
著書に、『世界最先端の研究が教える新事実心理学BEST100』『世界最先端の研究が教えるすごい心理学』『世界最先端の研究が教えるもっとすごい心理学』(以上、総合法令出版)など多数。
その数は200冊を超える。

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