本記事は、内藤誼人氏の著書『「なまけもの」のやる気スイッチ』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

自信
(画像=polkadot / stock.adobe.com)

自信がなくて動けないときは?

やりたいという気持ちがどれほど強くとも、自信がなくてできない人がいます。

たとえば好きな人をどれほどデートに誘いたいと思っても、「私などが誘うのは迷惑なのではないか?」と考えてしまって、行動できないのです。

自信はどんな行動をするときにも原動力となるものですが、それがない人はどうすればいいのでしょう。

そんなときは、まず姿勢を直してみることです。

姿勢が悪いと、自信を持てません。姿勢が悪いから自信も出ないのであって、姿勢を直せば自信は後からついてきます。

ドイツにあるトリーア大学のサビン・ステッパーは、99人の男子大学生に試験を受けさせてみたのですが、その際、低いテーブルと高いテーブルを用意しておきました。

低いテーブルだと、どうしても背中を曲げて座らなければなりません。テーブルが高いと、自然と背筋は伸びます。学生には伝えませんでしたが、これは、姿勢によって自信が変わるかどうかの実験だったのです。

テストを終えたところで、ステッパーは自信について尋ねてみました。すると、背筋を伸ばして座らせられたグループのほうが、自信も高く評価することがわかりました。

背中を丸めて、うつむいていると、気分も落ち込んでしまいます。

逆に、胸を張って堂々とした姿勢を取っていると、明るい気分になりますし、自信も持てるようになるのです。

最近は、四六時中スマホの画面を見つめている人が増えました。スマホ中毒というやつです。スマホ中毒の悪いところは、視力が落ちるということもあるでしょうが、背中が丸まって、姿勢が悪くなってしまうところです。姿勢が悪くなれば、当然、自信も落ちます。

街中を歩いているとき、お店のウインドウに自分の姿が映っていたら、自分の姿勢を確認してみてください。ずいぶんと猫背になっているのではないかと思います。これでは仕事でも、プライベートでも、自信を持てるわけがありません。

というわけで、自信がない人が真っ先にやるべきことは、姿勢を矯正することなのです。

姿勢を矯正するためのバンドなどは、インターネットで探せばいくらでも見つかりますので、そういうものを使ってみるのもいいでしょう。そんなに高いものではありませんし、姿勢が良くなればきっちり元を取ることができます。

自信がないと、何もする気になりませんし、悲観的なことばかりを考えてしまいますので、できるだけ日常生活の中でも姿勢を気にしながら行動するようにしてみてください。

胸を張って、背筋を伸ばすように気をつけていれば、そのうちに自然と自信もついてくるでしょう。

ポイント
自信がなくて行動できないときは姿勢を正す
姿勢を良くすると自然と自信が持てるようになる

部屋の照明を明るくしてみる

性格的に怖がりで、何かをしようとしても不安なことばかり考えてしまうような人は、部屋の照明の明るさを変えてみてください。明るい部屋にいると、「大丈夫、何とかなる」という気持ちが生まれるからです。

カナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学のマーク・シャラーは、十分な明るさの部屋か、薄暗い部屋に入ってもらい、「世の中にどれくらい危険があふれていると思うか」という質問をしてみました。交通事故や飛行機の墜つい落らく事故、あるいはテロに巻き込まれる危険などです。

その結果、暗い部屋に入れられた人たちは、さまざまな危険を高く見積もることがわかりました。

私たちは、本能的に暗いところを避けます。

暗いところというのは、危険がいっぱいだからです。

そのためでしょうか、部屋の照明が暗いと、どうしてもビクビク、ソワソワしてしまうことになるのです。明るいところだと人は安心します。

ですので、怖がりな人は、照明を明るくしておいたほうがいいのです。部屋が明るければ、おかしな不安を感じなくてすみます。

部屋の照明を薄暗くしておくと、絶望感も高まってしまうという研究報告もあります。

カナダにあるトロント大学のピン・ドンは、部屋の天井にある照明を19個つけている部屋と、同じ部屋の大きさで照明が4つしかついていない薄暗い部屋のどちらかで、106人の大学4年生に、自分が希望する会社に就職できる見込みを9点満点で尋ねてみました。

その結果、明るい部屋の平均は4.53点、薄暗い部屋では3.93点になりました。暗い部屋にいると、「どうせ私なんて希望する会社に採用されるわけがない」と弱気になりがちなのです。

部屋の照明を暗くしているのに、明るいことを考えようとしてもムリです。暗いところだと、恐怖、不安、絶望感などが高まってしまうものだからです。

省エネということで会社の照明の数を減らしたりすると、たしかにエコですし、電気代も減らせるかもしれませんが、社員のやる気はどんどん奪われてしまうのではないかと思われます。

社員のやる気を出すためには、少しお金はかかっても、オフィスの照明はできるだけ明るくしておくのがポイントです。

ポイント
不安で行動できない人は部屋の照明を明るくしてみる
暗い部屋だと、恐怖、不安、絶望感などが高まってしまう
「なまけもの」のやる気スイッチ
内藤 誼人
心理学者、立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。
慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。
社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。
趣味は釣りとガーデニング。
著書に、『世界最先端の研究が教える新事実心理学BEST100』『世界最先端の研究が教えるすごい心理学』『世界最先端の研究が教えるもっとすごい心理学』(以上、総合法令出版)など多数。
その数は200冊を超える。

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『「なまけもの」のやる気スイッチ』
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