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11月21日、安倍晋三首相は自ら「アベノミクス解散」と名付け、衆議院を解散した。消費税増税の先送りを決断した背景にはアベノミクスの不調が挙げられる。内閣府が11月17日に発表した7-9月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で−1.6%と2四半期連続でのマイナス成長となった。そのため安倍首相は「増税に耐えうる経済状況にない」として増税先送りを決断した。

今回、安倍首相は「消費税増税の先送り」を論点として衆議院を解散させた。特定の政策に対して国民に信を問うというやり方は安倍首相がかつて官房長官を担っていた小泉内閣での「郵政解散」を彷彿とさせる。

前回の衆議院議員選挙から丸2年、次回の選挙まであと2年。アベノミクスの成果を測るには期間が足りないと考えたのかもしれない。いずれにせよ、経済成長が達成できなければ、2017年には大きな痛みが伴う増税が待っている。

増税先送りは、マーケット関係者へどのような影響を与えるのだろうか。

最も影響を受けるのは、財務省で、来年度の予算編成で予定されていた事業について、相当修正を余儀なくされると思われる。また、選挙公約で経済対策を打ち立てると、補正予算を組まなければならず、その準備も大変になる。予定を狂わされた財務省としては、消費税増税の先送りのための法案を作成するに当たり、景気弾力条項を削除するよう求めてくるだろう。

また、日銀も厳しい局面に立たされる。日銀の国債買い入れは、政府から直接国債を買入れしないことと、増税により財政の健全化が図られるという前提に立って、財政ファイナンスは行わないという説明が可能になっている。それが、消費税の増税が先送りになれば、これ以上の緩和は難しくなり、金融政策によるコントロールの手段を失いかねない。

また、増税しないことにより、国債がさらに増発されることになれば、日銀の出口戦略にも影響が出てくる。日銀としては、増税先送りにより財政および通過の信認を失うことがないよう慎重な対応をしなければならず、出口戦略をどうするのかについて、改めて考え直さなければならない。

増税に耐えうる経済状況を作るにはアベノミクスが今後復調するかどうかにかかっている。

(ZUU online)

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