この記事は2024年3月5日に「第一生命経済研究所」で公開された「都区部版・日銀基調的インフレ率の試算(2024/02)」を一部編集し、転載したものです。


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目次

  1. 3指標はいずれも鈍化へ、第二の力指標は1%強の推移が続く
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3指標はいずれも鈍化へ、第二の力指標は1%強の推移が続く

以前のレポートで試算した東京都区部版の基調的インフレ率3指標について、本日公表の2月都区部CPIを用いて計算した。また、今月から先日試算した低変動品目CPIの都区部版も計算している。これは日銀が賃金から物価への波及度合い、いわゆる第二の力を定量化するために示した分析の一つである。(いずれも計算方法などについては末尾の参考文献参照)

刈込平均値(全国ウェイト換算)は1月:+2.5%→2月:+2.3%、加重中央値(全国ウェイト換算)は1月:+1.1%→2月:+0.9%、最頻値は1月:2.3%→2月:+2.1%、都区部CPIで計算した低変動品目CPIは1月+1.2%→2月:+1.2%となった(いずれも前年比)。昨年夏ごろをピークに刈込平均値や最頻値の鈍化傾向が継続、2%割れが近づいている。1月に伸び率を高めた加重中央値も再び鈍化した。加重中央値は1月に伸び率を高めたのち、2月は再鈍化している。低変動品目CPIの伸び率は横ばいである。

加重中央値や低変動品目CPIには一定の底堅さがみられる一方、伸び率が一段と高まっているわけではなく、過熱感はない。日銀はマイナス金利解除後の積極的な利上げから距離を置く発言を行っているが、そのスタンスとも整合的である。

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第一生命経済研究所 経済調査部 主任エコノミスト 星野 卓也