本記事は、ローラ・メイ・マーティン氏の著書『Google流 生産性がみるみる上がる 「働く時間」の使い方』(ハーパーコリンズ・ジャパン)の中から一部を抜粋・編集しています。
優先順位≠並べ替え
膨大なToDoリストを抱えた人は、優先順位づけとは、すべての仕事を完了させるために、用件や作業を特定の順番に並べることだと考えがちだ。最も重要な用件から始めて、重要でないもので終わらせればいいというイメージがある。だがアップタイムの世界では、優先順位づけとは、リストの下層にある用件を切り捨てる方法や、そもそもリストやカレンダーに載せる価値のない用件を断る方法を考えることだ。まあまあ重要な用件に「ノー」と言えれば、ものすごく重要な用件に「イエス」と言うスペースができる(加えて、うまくこなすための時間も手に入る)。
- すべてにノーと言う。イエスと言うものを除いては。
リストを削り始めるときに私がよく使う方法は、頭のなかに浮かんでいる「できる」「やるべき」と思っていることすべてを書き出して整理することだ(各種のリストについては次の章で掘り下げる)。次に、そのなかからおよそ3分の1を、優先順位の低いものとして特定する。それらはたいてい、ずっと頭のなかに残ってはいるものの、リストからリストへもち越されるだけで実行されないままになっている。さらに、特定した3分の1のそれぞれについて、次のように自問してみる。
- これをしなかった場合に起こる最悪の事態はなんだろう?
これを自分がやらずに済む別の方法はないだろうか?
これを途中までやって次に進む方法はないだろうか?
こうした問いかけは、「人に任せる方法」「作業を効率化する方法」「できるかぎり労力と時間を節約する方法」を考えるきっかけになる。たとえば、家族と新しい家に引っ越した直後、仕事部屋は何もない状態だったので、「仕事部屋を飾ろう」と思い立ったことがある。
気分転換にもなるし、ビデオ会議のときの背景としてもいいだろうと。しばらくのあいだ、リストを作成するたびに、「仕事部屋を飾る」という項目が入っていた。だが、ほかにもやらなければならないことが大量にあったため、優先順位はなかなか上がらなかった。そこで自問してみた。
「仕事部屋を飾る」をしなかった場合に起こる最悪の事態はなんだろう?
おそらく何も起こらない。自分以外はほとんど誰も立ち入らない小さな部屋が殺風景なままで、ビデオ会議のときの背景が最高にクールというわけではないことぐらいか。
「仕事部屋を飾る」を自分がやらずに済む別の方法はないだろうか?
この問いかけをきっかけに、インテリアデザイナーを雇ったらどうかと考え、手ごろな価格で人に任せる選択肢を調べてみた。
「仕事部屋を飾る」を途中までやって次に進む方法はないだろうか?
なかなかこのToDoを終えられなかったのは、本棚を並べて額縁に入れた複製画を掛けるだけでいいのに、テーマに沿って完璧に飾りつけようとしていたからだと気づいた。完璧を目指すのは進捗の敵になりうる。私しか使わない部屋の完璧な飾りつけと手抜きの飾りつけのちがいなんて誰がわかる? タイマーをセットして、装飾品の注文に1時間、届いた品を週末に2時間かけて組み立てて飾ればそれで充分では? ToDoの一部(本棚を組み立てたり、高いところに額縁を掛けたりする作業)を、リタイアしていて時間があり、手先も器用で、喜んで手伝ってくれる父のような人に任せてもいい。おそらく、わずかな時間で満足のいく成果が得られるはずだ。それで充分だし、何も飾らないよりはるかにいい。
これらの選択肢はどれも、優先事項リストから項目を削除すると同時に、ループを閉じ、最終的に仕事を完了させる方法である。まったく飾らないというのもひとつの選択肢だ。どれを選ぶにせよ、決断を下したということであり、この項目について考える必要が消え去り、ToDoリストが雑然とするのを防ぐことができる。
- あなたの優先順位の上位3つは何ですか?
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