本記事は、ローラ・メイ・マーティン氏の著書『Google流 生産性がみるみる上がる 「働く時間」の使い方』(ハーパーコリンズ・ジャパン)の中から一部を抜粋・編集しています。

先延ばし
(画像=Kitta / stock.adobe.com)

最大の敵:「先延ばしグセ」

綿密な計画を立てても、同じことを何度もリストに追加した挙げ句、結局は実行されずに終わることがある。何日も、あるいは何週間も引きずられる項目を見たことのある人は多いだろう。たとえば、あなたが習得した何かを他者に教える研修プログラムを開発するとしよう。デイリー・リストとウィークリー・リストに載せ、時間を確保しているのだが、なんらかの理由で完了していない。身に覚えがある? もしそうでも、自分を責めないでほしい。誰にでも起こることだから。そうした先延ばしを防ぐための戦術と戦略を紹介する。

適切な時間を割り出す

すべての時間枠が等価とは限らない。研修プログラム開発のために毎日午後2時半から3時半までを確保しても、そこが1日のうちでエネルギーが最も低い時間帯だったら、その仕事に着手しないまま時間が過ぎるか、着手はしてもすばらしい成果は手に、すべての時間枠が等価とは限らない。研修プログラム開発のために毎日午後2時半から3時半までを確保しても、そこが1日のうちでエネルギーが最も低い時間帯だったら、その仕事に着手しないまま時間が過ぎるか、着手はしてもすばらしい成果は手に入らないだろう。何かの課題に取り掛かったときに、流れに逆らって漕いでいる気分になるのなら、それは適切な時間ではない。

リストに残っている項目を見て、自分に尋ねてみる。「理想的なのはいつで、自分がどんな気分のときだろう? パワー・アワー中だろうか? 自分はその時間を確保しようとしているか?」

何かをしないことを自分に許し、そこから学び、パターンを見つけてほしい。かつて私は、子どもたちが寝たあとに高エネルギーが必要な作業をするような計画を立てていたが、その時間が来てもそんな気分になれず、意欲が湧かなかった。夜の終わりには、脳にとってむずかしいことをこなすのに充分なエネルギーポイントが残っていなかったのだ。それを学んだいまは、その時間帯に何かをする予定は入れなくなり、1日の別のところに時間をつくっている。その課題に前向きに取り組める「未来の自分」に託すことを学ぼう。


先延ばしを克服するベストな方法は、
適切な時間に適切な仕事を割り当てることだ。

その日のテーマと合わせる

その日のテーマをもつことには意義がある。テーマがあると、脳は特定の時間に特定のことをチェックする習慣ができ、「今日、何をすればいい?」ということをいちいち考えずに済む。曜日ごとにテーマを設けることで、そのテーマに関することを少なくとも週に一度は確認する機会ができ、関連する業務をおこなうのに最適なマインドセットが得られる。新しい研修プログラムを開発したければ、テーマに合った日にその作業をスケジュールする。「事務作業の日」や「セールス電話の日」に研修プログラムを構築しようとしても切り替えがむずかしく感じられるだろう。おそらく、構築しようとしているプログラムに関連したテーマの日があり、関係のある会議に出たり、関係のあるメールに返信したりするうちに、構築の準備がととのってきたと感じるはずだ。

先延ばししたくなる7つの属性

何かを先延ばしする理由を知るにはまず、その仕事のどの部分があなたを避けさせているのかを正確に把握しなければならない。「手に負えない気がする」「どこから手をつけていいかわからない」「始めるのに必要な情報がそろっていない」「時間がかかりそう」などが考えられる。 研修プログラム構築の例では、過去にそうした経験がないことも理由のひとつかもしれない。

『Solving the Procrastination Puzzle(先延ばしパズルの解法 』の著者であるティモシー・A・ピッチェルは、先延ばししたくなる7つの属性を挙げている。

  1. 退屈
  2. イライラする
  3. むずかしい
  4. あいまい
  5. 体系化されていない
  6. 内的報酬がない(達成感がない)
  7. 有意義でない

これらの属性を多くもつ課題ほど、私たちは精神的に抵抗し、避けようとする。当てはまる属性を特定できれば、よりよい前進の仕方を決めることができる。その例を表に示す。

課題 先延ばしの属性 逆転させる方法
毎月の経費精算 退屈 テレビを見ながら作業する
税金の申告 イライラする 税理士に相談する
本の執筆 むずかしい 「まず何をするか」をリサーチすること自体を課題にする
来年度に向けてのチーム準備 あいまい 準備ができたと思う状態を3つ書き出し、まずその1つに集中する
庭の整備 体系化されていない 惹かれる庭の写真を探し、何が好みなのかを考え、真似をする
ピアノのレッスン 内的報酬がない 好きな曲を動画で見て、やる気を高める
保険金請求書の提出 有意義でない 支払われた保険金の楽しい使い道を計画する

何が自分に先延ばしさせているのかを突き止めることで、課題を再定義できる。なお、ひとつの課題に複数の先延ばし属性がある可能性がある。たとえば税金などの事務処理が「退屈」で「イライラし」、自分にとって「有意義でない」と感じるのであれば、テレビを見ながら必要な書類をととのえたり、税理士と契約したり、そして保険金を楽しいことに使う計画を立てたりするという対応策が考えられる。これら3つの変更を加えることで、目の前の課題に対する気持ちがかなり変わるはずだ。

『Google流 生産性がみるみる上がる 「働く時間」の使い方』より引用
ローラ・メイ・マーティン
時間とエネルギーのマネジメント方法を上級管理職にコーチングしている。5万人を超える社員が読む、生産性に関するニュースレターを毎週発行。13年にわたって社に籍を置き、営業、プロダクト・オペレーション、イベント・プランニングに携わったのち現職に。ノースカロライナ大学チャペルヒル校で経営管理学を専攻し理学士号を取得。夫と3人の子どもとともにノースカロライナ州シャーロットに住む。

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『Google流 生産性がみるみる上がる 「働く時間」の使い方』
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