この記事は2025年5月28日に配信されたメールマガジン「アンダースロー:政府の債務残高GDP比がコロナ前より小さくなっているのはG7で日本だけ」を一部編集し、転載したものです。

アンダースロー
(画像=years/stock.adobe.com)

■ IMFの推計では、日本の2025年の政府の負債残高GDP比は234.9%となっている。コロナ前の2019年の236.4%より既に小さくなっている。G7でコロナ前より改善しているのは日本だけである。先進国の平均では、2019年の103.6%から2025%の110.1%へ上昇している。一方、内需が極端に弱いのも日本だけだ。緊縮財政が国民を困窮化している証拠となる。

■ 金融資産を控除する純負債残高にすると改善がより顕著だ。日本の政府は、膨大な余剰金融資産を持っていて、そのリターンが大きいからだ。日本の2025年の政府の純負債残高GDP比は134.2%となっている。コロナ前の2019年の151.6%よりかなり小さくなっている。先進国の平均では、2019年の73.3%から2025%の81.2%へ上昇している。

■ 日本の純負債残高GDP比は、先進国の平均より大きい。しかし、企業は負債の返済を続けた結果、純負債残高GDPは既にマイナスとなっている。企業の純負債が消滅しているのは日本だけで、日本の負債構造は極めて良好だ。企業の純負債が消滅する中、家計の純金融資産の裏付けとなる政府の純負債残高は決して大きくはない。

図1:政府の負債残高GDP比

図1:政府の負債残高GDP比
(出所:IMF、クレディ・アグリコル証券)

図2:政府の純負債残高GDP比

図2:政府の純負債残高GDP比
(出所:IMF、クレディ・アグリコル証券)

会田 卓司
クレディ・アグリコル証券 東京支店 チーフエコノミスト
松本 賢
クレディ・アグリコル証券 マクロストラテジスト

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