前回は、投資家向けメディアリテラシーvol.4〜投資家にとって真に必要な情報とは何か?〜として、収集した情報をどう整理するのか、投資家にとって必要な情報とは何かについてをお伝えしました。
このシリーズ最終稿の今回は、投資への向き合い方のまとめをお届けしたいと思います。
【参考:東南アジア株式シリーズ】
成長する東南アジアの恩恵を享受する~各国市場の特徴と注目銘柄[マレーシア・インドネシア編]〜
成長する東南アジアの恩恵を享受するVOL2~各国市場の特徴と注目銘柄[シンガポール・ベトナム編]〜
成長する東南アジアの恩恵を享受するVOL3~各国市場の特徴と注目銘柄[フィリピン・タイ編]〜
【参考:投資家向けメディアリテラーシーシリーズ】
投資家向けメディアリテラシーvol1〜マーケットは“真実”ではなく“情報”によって動く〜
投資家向けメディアリテラシーvol2〜メンタルコントロールの重要性〜
投資家向けメディアリテラシーvol.3〜情報収集のポイント〜
投資家向けメディアリテラシーvol.4〜投資家にとって真に必要な情報とは何か?〜
◉投資に負けたときの向き合い方
投資で負けた時の気分は、体験したことのある人だったらわかると思いますが、はっきり言って最低も最低。人生のどん底まで落ちた気分ですよね。損切りできずにずっと塩漬けしているときも同じです。
また、それがだんだんと慣れてきてしまうともっと最低になりますし、そんな状態で「失敗は成功の母」だなんてのんきなことを言ってられないのも分かります。
ですが、新聞記者時代の投資家に対するインタビューで、私は勝てる投資家と勝てない投資家の違いを知ることになりました。
それは、負けた時の相場に対する考え方です。
勝てない投資家は、「相場が間違っていた」と考えるのです。いや、実際、相場が間違うことってよくあるんです。相場というのは前回お伝えしたように、人の感情による不確実性の積み重なり『センチメント』で形成されるものです。ですから、相場はよく間違います。合理的な理由だけではマーケットは動かないのです。
◉フィボナッチ・リトレースメントに見る人間心理
投資は心理学という言葉もよく聞きますし、実際、テクニカル分析が流通しているのも、こういった事実の証左です。
有名なテクニカル分析手法に、フィボナッチ・リトレースメントというモノがあります。この手法は、為替取引などでよく使われるのですが、計算としては、高値から安値を引き、その変動幅の38.2%、50%、61.8%で押し目買いのポイントが来る、というものです。しかし、この38.2%、50%、61.8%という数字に具体的なロジックがあるのかと言えば、ほとんどないと言っていいでしょう。でも、よく相場はこのタイミングで転換するのです。これはなぜなのか。つまり、それだけフィボナッチ・リトレースメントを信じている人が多いということなのです。
このロジックに整合性はありません。こういう不確実性がマーケットには確実に存在しているのです。人間が形成するものだからと言えばそれまでなのですが……。
しかしそれでも、起きたことは絶対に正しいのです。勝っている投資家はつねに、いくら非合理的な動きをしても、「相場は常に正しい」と考えられるのです。そうすることで、世界は不確実性と非合理性のもとに成立しているという事実を受け入れられるのです。これはとても大事なことなのです。