大手キャリア3社の戦略
このような格安スマホ事業者の相次ぐ登場に大手通信キャリア3社も手をこまねいているわけではなく、それぞれ次の戦略を模索している。
最も印象が強いのはソフトバンク <9984> だろう。2013年にはガンホー・オンライン・エンターテイメント <3765> を連結化し、その後、2013年10月にはフィンランドのスマホ向けゲームメーカーであるスーパーセルの株式を51%取得し子会社化するなど、コンテンツ事業の強化を進めている。また、2013年7月にはアメリカの通信キャリアであるスプリントを買収し、アメリカ進出の足掛かりとした。
auを展開するKDDI <9433> は通信料収入に付加価値売り上げとしてさまざまなアプリを利用できる会員特典「auスマートパス」や電子マネーサービス「au ウォレット(au WALLET)」に力を入れている。auスマートパスの会員数は2014年9月末時点で1,140万人、au WALLETは2014年10月20日時点で660万人の会員(サービス開始後5ヶ月)を獲得し堅調な伸びを見せている。さらには2014年7月には住友商事 <8053> と組んでミャンマー通信事業へ参入した。
通信事業の国内最大手・NTTドコモは直営のマーケットでのコンテンツや商品を販売する「dマーケット」に力を入れる。「ショップジャパン」で有名なテレビショッピング事業などを展開するオークローンマーケティングや有機野菜などを販売するらでぃっしゅぼーや <3146> 、音楽関連商品を販売するタワーレコードなどを次々と買収、資本参加し、「社会インフラとしての人と人をつなぐ通信の確保」「スマートライフのパートナーとしてより便利で充実した暮らしの実現」を目指す。ソフトバンクやKDDIのような目立った海外展開がないだけに、今後国内事業をどのように強化していくかがポイントになってくる。
格安スマホ事業者が通信のみに的を絞った価格勝負を仕掛けてきているのに対して、通信キャリア3社は海外展開や付加価値を提供することによって収益を維持向上させようとしているとみていいだろう。
(ZUU online)
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