マクロでは景気回復感があってもミクロでの人々へのプラスの影響は限定的

スペインは数値上で見る限り1年ほど前から景気後退を脱し、2015年については前述のとおり主要国の中でも順調な成長が予想されている。懸案となっていた失業率にもようやく低下の兆しが見えてきており、金融部門もECBのストレステストに合格するほど改善している。ただ、長期失業者や無所得の人々は依然として多く存在しており、2年以上の失業者も240万人以上となっている。したがって、こうした層まで景気回復感を実感できるような政策を打ちだすことができるのかどうかが大きな試金石となる。


ECBドラギ総裁は意外に慎重な発言

今回のECBのQEは2015年3月から2016年9月までの期間で、月額600億ユーロ総額はおよそ1兆1,400億ユーロとなっているが、それに各国の出資割合を掛けると国別の国債の購入額のだいたいの目処が見えてくる。ちなみにスペインの出資割合は13.67%となっており、約1558億ユーロが国債購入額と見込まれる。果たしてこれがスペイン経済を飛躍的に改善させられるものかどうかは未知数だ。

ドラギECB総裁は「金融政策ができることは、成長の基盤を整えること。そして成長率を高めるには皆が投資をすることが必要。さらに投資をするためには自信を持つことが必要で、自信を持つためには構造改革を行うことが必要だ」と慎重な発言を繰り返す。

つまり量的金融緩和により確実にインフレが発生しデフレが回避できると言い切らないことで、金融政策の限界も理解しているように見受けられる。実際のQEのスタートは3月からとなる。スペイン経済がQEの波に乗って回復に向かうかどうかこれからの動向をしっかり確認していくことが必要となりそうだ。

(ZUU online)

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