イベント・ドリブンのアルゴリズムの影響とも

イエレン議長発言が始まると同時に相場で買い上げが起こるのは、一部ではイベント・ドリブンのアルゴリズムが働いているからに過ぎないという指摘もある。その真偽のほどは別としても、個別市場の期待とイエレン議長への好感が連動を度外視して、相場を押し上げている可能性が高い。


FRB政策の背景にある長期停滞論とバブルの温存

現在のFRBが実施する政策の根幹を成す発想は、最近の中央銀行の主要人物の出身となるマサチューセッツ工科大学(MIT)の人脈において、理論的な支柱となっているローレンス・サマーズ元米国財務長官の「長期停滞論」をベースとしていると言われている。

簡単に言えば、潜在力を大幅に下回る水準の低成長・生産・雇用と、低い実質金利が今後も長期間にわたり共存する可能性あると、サマーズ氏は提唱しており、この「長期停滞論」を支持する立場から、FRBではあえて株式を中心としたバブル相場を維持する策を実施し、市場が急激に変動することを極力避ける動きをとっているのである。

利上げの時期をじっくり模索しているのもそのためで、イエレン議長の発言で大きく相場が動かないようにとの配慮が細かく働いていることも、このような相場状況を作り出しているといえる。


FRBメンバーがハト派とタカ派に分かれて発言し市場を微妙にコントロール

最近の連邦準備制度理事会の動きでいうと、FRBでの議決権を持つメンバーが微妙な役割分担を果たし、ハト派的発言とタカ派的発言を個々のメンバーの言動でうまくコントロールし、バランスをとっているようにも見える。過度にどちらかに傾いて見えないように気を遣ってバランスをとっているという状況だ。

ただ、過去の利上げのプロセスと見ると、グリーンスパン前議長の任期中となる2004年6月にFF金利の利上げを実施しているが、その前後にニューヨーク証券取引市場の株価は大幅な下落を見せた。今年も正式にFRBが利上げを実施することがわかれば、株式相場の下落が予想され、為替もドル/円を中心に、下落へ影響すると危惧される。

2015年の為替相場では、イエレン議長が会見をすればドル円上昇というアノマリーが、果たしてどこまで継続するのか、注目されるところだ。

(ZUU online)

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