店長やエリアマネジャーなど現場の従業員もデータ活用へ

しかしながら、MUJI passport、無印良品の店舗、オンラインストア、SNSなどに日々蓄積されるビッグデータをさらに有効活用していくにあたり、下記の課題に直面する。

①データ活用をデータサイエンティストのような専門家だけではなく、店長やエリアマネジャーなど現場の従業員にも広めるためには、使い慣れたMicrosoft Excelのようなユーザーインターフェースが重要であること

②現場でのデータ活用推進のためには、明細に近いレベルの細かいデータ粒度であっても、数秒~数十秒の短い時間で結果を表示できるシステムが必要であること

これらの課題を解決するため、良品計画は、日本マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」および「Microsoft Power BI」の導入を決めた。従来、約5分かかっていたレポートの表示を約10秒に短縮し、使い慣れたExcelで誰でも最新かつ大量のデータを自由に加工して分析できるようになった。

そのため、社内でデータを参照・活用する機運が高まり、店長、エリアマネジャー、販売部、商品部など現場の各部門が、データに基づく迅速な意思決定ができるようになったという。データを収集し、分析している企業は数多あるが、実態は自分たちに都合の良い分析の一部を活用するだけの企業がほとんどだ。

しかも、特定の人物しか分析ができなかったり、ビッグデータを扱えなかったりと、属人化してしまうことが多い。それゆえ、良品計画の使い慣れたExcelで誰でも加工して分析できるようにしたという試みは称賛に値する。

ただ、ビッグデータは万能ではないということも忘れてはならない。人の行動履歴、例えば、商品閲覧や検索、購入履歴、クチコミ蓄積の定量分析ができても、その行動の理由や背景は、ビッグデータだけでは分からないことも多い。

また、出てきた結果は、自社の裁量や過去の経験値で判断しなければならないことが多い。そこを見誤った途端に、ビッグデータの価値を失うそうならないためにも、定義や判断基準を明確にしておくことが重要なのである。

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