現状は目標にはほど遠い

前述の資料によれば、我が国の全住宅流通量に占める中古住宅の流通シェアは13.5パーセントと低い。フランスは64.0パーセント、イギリスは85.8パーセント、米国では実に90.3パーセントを中古住宅が占める。欧米諸国と比べると、日本の中古住宅の流通シェアは相当に低い水準となっている。

日本の中古住宅市場が活性化しない理由としては、1)中古住宅に対する質への不安、2)中古住宅の価値が適切に評価されていない、3)売買時に必要なサービスを提供する業者がバラバラでワンストップで行われていない、4)資産としての活用が不十分、などが挙げられる。

これらの課題を解決しないと、中古住宅市場を今後5年間で20兆円にという政府目標の達成は難しい。そこで、まずは買い手と売り手の情報格差を縮小すべく、中古住宅売買時に住宅診断を義務付けようという対策が検討されている。


消費者の意識も変わりつつある

ただ、近年こうした動きにも変化の兆しが見られる。住宅を購入する際、「どうしても新築でないと」というこだわりのある層は減少しつつあるのだ。

国土交通省の調査によれば、住宅の購入時に「新築住宅を建てる」、「新築住宅を購入する」ことを望む層は2003年から2008年の5年間で7.7パーセント減少しており、新築購入へのこだわりが薄れつつあるようだ。

また、住宅購入のメイン層である30代のサラリーマン層の平均年収、金融資産はともに年々減少しており、新築住宅よりも安価な中古住宅購入へと意識が変わりつつあるのも自然な流れといえよう。

とはいえ、住宅診断を行う事業者はまだまだ不足しており、診断能力の高い事業者の確保が急務だ。政府は研修制度の充実などにより確保を目指していく予定だ。今後の中古住宅市場の課題解決、そして、目標とする2020年の市場倍増に期待したい。(ZUU online 編集部)

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