住宅市場が堅調なのは、拡大する労働市場と低金利の恩恵による。量的緩和終了以降マネタリーベースは縮小し、企業業績や株式市場も減速し始め、新築住宅販売件数(平均)も14年度前半の2.2%増から後半の1.5%増とやや後退した。

ただ、これは冬場の悪天候といった一時的要因が大きかったようだ。この間、景気より遅く反応する雇用と賃金は伸び続け、独立して家計を構えられる人たちも増加。また事実上のゼロ金利継続で住宅ローン金利も3%台後半にまで低下。

このように住宅を購入しやすい環境があることに加え、春になって寒波の影響もなくなり、4~5月の平均は5.2%増と拡大基調に戻っている。


新築のみならず中古も販売拡大

住宅販売が伸びているのは、新築だけでなく中古も同様だ。

中古住宅販売件数(平均)は14年度前半の1.4%から後半は0.4%と伸び悩んだものの、15年4~5月は再び1.4%に上げ幅が拡大。

なお、在庫指数は14年度後半から15年4~5月にかけて、4.8カ月から5.2カ月と伸び、平均価格も6.0%から8.2%と伸び率が拡張している。

つまり、中古住宅の需要が増え、物件が値上がりして資産効果が生じ、利益確定のために売りに出されて在庫が増え、それが雇用・賃金伸長と低金利でまた買われる、という好循環が起きているのだろう。

5月の「一戸建て」販売件数を見ると、新築の54.6万戸に対し中古は473万戸であり、8.7倍もの市場規模を誇る。これが拡張していることは、米経済にとって大きなプラスとなる。


利上げがターニングポイントとなる

上述のように新築・中古ともに販売好調だと住宅関連業界が潤い、その分雇用や賃金が伸びて住宅市場がさらに伸びるという好循環が生まれる。それが経済全体に波及していくと、企業収益も回復し、株価も再び復調していく可能性が高い。

ちなみにNAHB住宅市場指数の「今後6か月の販売見通し」を見ると、2年3カ月50を超えており、住宅建築業者が新築一戸建て住宅販売市場の状況について、引き続き「好調」であろうと判断している証拠である。

ただ、FRBによる利上げ以降は、潮目が徐々に変わっていく恐れがある。住宅ローン金利もそれに連動して上がっていき、利上げによる景気減速で企業収益や株価も悪化し、雇用や賃金が抑制されれば、これまでの好材料が失われていく。

その結果、新築・中古ともに住宅市場は後退し始め、関連業界にも悪影響が及んで、労働市場をさらに縮小させる、というように悪循環に陥りかねない。

利上げからしばらくして、そうした兆候が見え始める可能性があるので、金融政策とその住宅市場への影響に注目が必要だ。

(ZUU online)

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