ワタミ
(写真=同社HP)

2014年の年初に開始された「JPX400」は8月7日に組み入れ銘柄の入れ替えが発表され、今年は不適切会計問題で大揺れの東芝 <6502> や、食品への異物混入問題などで苦境の続く日本マクドナルドホールディングス <2702> などが除外されることになった。昨年も同時期に入れ替えが行われているが、除外された企業のその後の業績、失われた信頼を回復する取り組みは功を奏したのか。

この指数は日本経済新聞社と日本取引所グループ <8697> および東京証券取引所が開発したもので、グローバルな投資基準を満たす「投資者にとって投資魅力の高い会社」400社で構成されている。


業績低迷のワタミ<7522> 介護事業も1億の赤字転落

昨年8月に除外された企業31社の中でも、居酒屋チェーン大手であるワタミの低迷振りが目立つ。同社の発表によると、2015年4~6月期営業損益が9億円の赤字、純損益が15億円の赤字と、いずれも前年同期から赤字幅が拡大、1998年の上場以来過去最悪となった。株価も3月24日には年初来高値の1,305円であったのに対し、現在は1,000円前後となっている。

売上高は前年同期比12.5%減の345億円。主力の「和民」では今春からメニュー全体を値下げしたものの、ブラック企業批判などに起因する客離れが続いており、4~6月の既存店売上高は10.4%減。ただ不採算店舗の削減により、部門の赤字幅は減少している。

また、前年同期は7億円の黒字だった介護事業部門の営業損益も1億円の赤字に転落。施設の入居率は前年同期の84.1%から78.3%に低下した。同社広報は「外食メニューの梃入れなどで客数減は底を打った」としており、2016年3月期の業績予想を10億円の黒字に据え置いてはいるが、なお信頼回復への道には厳しいものがある。


ゼンショーHD <7550> すき屋の深夜営業再開で回復基調

2015年3月期決算では、主力である牛丼チェーン「すき屋」の深夜営業休止や米国でのレストラン事業撤退などで111億円余りの純損失を計上した同社だが、その後回転ずし「はま寿司」の新規出店を増やしたほか、スーパーマーケット事業の売り上げが好調だったこともあって、2015年4~6月期の連結決算は増収。営業、経常損益は黒字転換した。

1月6日の株価は973円(8月14日時点で年初来安値)だったが、同社の営業姿勢を好感して右肩上がり傾向が持続している。「すき屋」の深夜営業が順次再開されたこともあって、いわゆる「ワンオペ」に批判的だった顧客の印象も徐々に柔軟化しつつあるようにも見えるが、「庶民との二人三脚」が信条の業界だけに、人間を大切にする経営姿勢の真贋が常に問われていることを忘れてはならない。

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「爆買い」で好調ビックカメラ <3048> 海外経済の行方が不安要素

ターミナル駅の周辺で大型店を展開する家電量販大手の同社は、完全子会社にソフマップを持つほか、2012年からはコジマ <7513> を傘下に置いている。家電不況下、低迷を続けた同社も、最近の円安基調に乗った海外からの訪日顧客の旺盛な消費、特に中国からの観光客による「爆買い」に支えられて、堅実な営業環境を固めてきた。

5月7日に年初来安値の1,154円を付けた株価も、7月7日には年初来高値の1,641円を記録するなど、概ね安定感を取り戻したかに見える。今後も訪日客をターゲットにしたきめ細かな戦略を展開する同社にとっては、中国経済の行方などの海外要因が見逃せない要素だ。


順調に株価を伸ばすサイゼリヤ <7581>

株価は1月6日の1,567円(8月14日時点で年初来安値)から順調に右肩上がりのサイゼリヤ。7月17日には年初来高値の3,060円を記録するなど、投資家からの支持も厚い。オーストラリアの自社工場で食材を生産、自律的な安定経営を目指す同社だが、力を入れている中国経済の行方に陰りが見えるなどの不安材料にも目を配る必要がある。


スカイマーク ANAの支援で再生へ

民事再生手続き中のスカイマークは8月5日、東京地裁で債権者集会を開いた。最大債権者である米航空リース会社のイントレピッド・アビエーションが、米デルタ航空をスポンサーに据えた再生計画案を提示。スカイマークが策定したANAHD <9202> や投資ファンドのインテグラルをスポンサーとする再生計画案と対立する構図となっていたが、後者が債権総額の2分の1以上と債権者数の過半数の賛同を得て可決した。再建に向けて一歩前進した同社だが、システム対応をはじめ今後取り組むべき課題は山積しており、このままスムーズな離陸に繋げることが出来るのかは依然不透明と言わざるを得ない。


ソニー <6758> やフィールズ <2767> は株価好調

31社の中には、ソニーやフィールズの名も。過去10年にわたって投資家の期待を裏切り続けてきたとも言えるソニーは、昨年に平井一夫社長が構造改革を断行したことが評価され、年始からの株価上昇率は40%を超えた。だが1989年以来の公募増資が発表されるや、確固たる業績回復を見ないままの資金調達は時期尚早との声も聞かれる。

また、8月3日にパチンコ機「CR ヱヴァンゲリヲンX」を全国発売したフィールズも、株価を順調に回復させてきた。ただ常に新しさを求められるゲーム機業界にあって、一時の好調に浮かれている暇はないだろう。(ZUU online 編集部)

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