広告費だけで毎月数千万円?初期投資額が巨額な理由とは
西アフリカのインターネットビジネスにおいて、初期投資金額が大きくなる背景には、新興国独特の事情がある。
楽天のように、発注を受けたサプライヤーが、品物を発送するというドロップシッピングするという方法は、信頼できるビジネスマナーと在庫管理ロジスティックスが整った、成熟した小売産業でこそ成立するものであり、新興国では困難だ。
そのため、オンライン上での決済に安心感を持ってもらうために、運営側がリスクを背負い「在庫を抱える」モデルからスタートし、徐々にドロップシッピングへ移行していくのが、各国の主要ECサイトのトレンドとなっている。
またガーナでは、個人使用目的でも輸入品には関税を支払わなくてはならず、EMS(国際郵便)は、局留でも自宅まで配送しないどころか、荷物が郵便局に到着しても連絡がない。また、郵便局に確認の連絡をしようにも、20回かけても繋がらないというのは日常茶飯事だ。
郵便局では、単純な荷物の受け渡しに何度も住所や名前を記入しなければならず、最低1時間はかかる。そこからまた、オフィサー(官吏)との関税額交渉が始まるので、郵便局までの往復にかかる時間を合わせると、 半日近い時間と労力がかかってしまう。
国内に在庫を安定供給できるサプライヤー、IT技術者の不足、ロジスティクス、金融システムの信頼性、不統一な住所システムなど、まだまだeコマース業界を取り巻く課題は山積みだ。だが、自宅まで商品を届けるサービスに対する需要は高い。
6年後、2021年には、ガーナの人口は2,900万人、国民一人当たりのGDP は2,759ドル、インターネット普及率は62%にまで上昇すると試算されている。インフラの未整備がかえってeコマース成長契機となったインドやインドネシア同様に、ガーナ人の日常生活にeコマースが組み込まれるようになるのは、それほど遠くはない。
<著者プロフィール>
大山 知春(おおやま・ちはる)MBA取得後、2013年、ガーナにて、ECとコンサルティングを軸とした
MindNET Technologies Ltd
を共同設立、ガーナ初のファッションオンラインストア
VIVIA
を立ち上げる。その後、ガーナと日本の通商活性化を目的とした
VIVIA JAPAN
を設立。ガーナ原産天然素材を使ったオール・ナチュラル・スキンケアブランド
JUJUBODY
を展開する。
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