郵政3社、最大の買い材料は「前評判の悪さ」

――郵政3社については賛否両論ありますが、上場前にこれほど意見の分かれる企業も珍しいですね。

郵政自体は、特別良い会社ではないと思いますし、そのように言っている人も少なくありません。「新規公開で10兆円もある会社で、これほど前評判の悪かった会社はないくらい悪い」と。逆に言えば、それが最大の買い材料だと思います。株は変化を買うものです。郵政は上場後に良い意味で変わる可能性はありますし、約40万人という日本最大の社員数がいる会社で、2兆5000億円の人件費が掛かっています。JRもJTの例を見るまでもなく、民営化して収益を追求し始めると、「流石に少し削ろうかな」と考えるかも知れません。

それこそIT化が進んでいる現代社会で「そこに関わる人ってそんなに必要なのか?」という疑問が出てきます。そうなると、よりレベルの高い仕事に意識が移っていきます。そう考えると、大きく変わる可能性はあります。


郵政3社の投資対象としての魅力

――確かに、郵政3社も上場して変わってもらわないと困りますよね。株主の期待にぜひ応えて頂きたい。

過去、例えばJT上場時には、「日本人はタバコを吸う人が減っているよね」と、前評判は高くはなかったと思います。当時は、「人口は減少していく」、「事業内容の99%がタバコ」、「そんなの上手くいくワケない、将来性がない」と、皆が言っていたと思います。だけどいま現在、タバコの国内売上高は、実はJTの事業ポートフォリオの3分の1くらいです。55%は外国タバコ、海外でのタバコ市場です。

もちろん、「冷凍食品で加ト吉を買収して、テーブルマークになっているけど、あまり儲かっているように見えない」との意見もあるでしょう。医薬品など失敗した事業もありますが、当たった事業もあります。新興国市場でのたばこ事業は、明らかにJTに当たりでした。郵政も、JTのように海外展開をやって当てることは十分に考えられます

しかも、配当利回りが2%弱と高い。しかも、配当性向を今後上げるようなことを言っていますからね。今まで競争がほとんどない公益企業で、配当利回りが高い銘柄として考えると、郵政3社は投資対象として魅力的でしょう。

――そうですね。配当はアドバンテージになりますね。

原発問題以前は、電力株が安定的な公益企業でした。鉄道株も昔は個人投資家の保有比率が高かったのですが、今はPERが上昇し利回りが悪くなっていますから、買えるものなのかなと。ガスも自由化されています。唯一近いのが、NTT docomoだと思いますが、ソフトバンクとKDDIと熾烈な争いをしているわけですよね。それを多く持っているNTTを考えたときに、公益企業ではあるが「安定的か?」と言われたら疑問が残ります。

そうなると、ゆうちょ銀行、かんぽ生命を持っている郵政グループは他とは違うと考えたときに、「高配当がもらえるんだったら買おうか」という水準にあり、投資対象としてのメリットは十分あると考えますね。

*10月11日掲載の「 日本郵政3社、上場後の価格推移はどうなる? 」に続く。

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