コーポレートガバナンスに対する目が厳しく
近年では、株式会社の不祥事が相次いでおり、株式会社を見る社会からの目がより一層厳しくなってきている。それに伴いコンプライアンス(法令遵守)が強く求められているが、現在は単に法律や規則といった法令を守ることだけのみならず、法令とは別に社会的規範や企業倫理(モラル)を守ることまで広く求められている。
そのために、業務運営を適正に行えるような仕組み(内部統制)のもと、業務執行機関が不祥事を起こさないよう監督・助言するコーポレートガバナンス機能が有効に働くことが取締役に期待されている。
損害賠償責任を負うとき
さらに、会社法では、取締役の職務に悪意または重大な過失があったときは、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負うと規定されている。これは第三者責任と呼ばれている。自らが直接関与していなくても、他の取締役や従業員を監督する地位にありながらその者の行為に対し適切な措置をしなかった場合も含まれる。
なお、ここで言う「悪意」とは、嫌がらせ目的といった意味ではなく、職務を行うについて第三者に損害が生じることを知っていながら、という意味である。一般論として、「悪意」という用語は、社会一般的な意味と法律用語での意味が異なるので注意が必要だ。
また、第三者責任にいう「第三者」には株主も含まれる。粉飾決算を行い、それが発覚して株価が下落して株主に損害が生じたという場合にも、取締役は第三者責任を負うことになる。上場企業の場合にはさらに金融商品取引法に有価証券報告書への虚偽記載などに関して特別の規定が置かれており、立証責任の転換や損害額の推定までもが規定されている。
刑事責任を問われたライブドア事件
以上は民事責任であるが、特に悪質な場合は刑事責任を問われることもあり、懲役刑に処せられることもある。例えば、取締役が自己や第三者の利益を図ったり、株式会社に損害を加えたりする目的で、その任務に背く行為をし、株式会社に財産上の損害を加えたときには「特別背任罪」が成立する。有価証券報告書への虚偽記載にも刑事罰が科される。ライブドア社長であった堀江貴文氏に成立した犯罪の一つが有価証券報告書虚偽記載の罪だ。
このほかに報酬規制などもある。取締役となったからといって浮かれてばかりではなく、正しく法律を理解し、経営を担っていく必要がある。(ZUU online 編集部)
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