記憶に新しいバーナンキショック

中国をはじめとする新興国経済の減速、量的金融緩和を実施中の日本と欧米の経済は、いまひとつ力強さを欠く。それと比較すると、雇用市場を含め堅調に推移しているのが米国経済。世界経済の成長は、米国にかかっていると言っても過言ではない状況だ。

2013年5月22日、実施していた量的緩和政策について、バーナンキ前FRB議長は、「今後数回のFOMCで、債券購入ペースを落とすことがありえる」と、議会証言で述べた。この発言を受け、流動性の縮小懸念から、新興国の通貨と株式から資金が流出。日経平均株価も前日比で1,143円安の暴落となった。さらにその年の6月19日のFOMC後の記者会見でバーナンキ前FRB議長は「年末までに量的緩和縮小を開始する可能性がある」と述べ、金融政策の方向転換のシナリオを示した。一連の発言を巡るマーケットの混乱は「バーナンキショック」として今なお記憶に新しい。


世界の株式・金融市場に影響与える米金融政策

FRBが直面しているのは、10年続くゼロ金利を解除して金利を引き上げるかどうかという難題だ。FFレートは年0~0. 25%の事実上のゼロ金利で推移しており、リーマンショックからよやく立ち直り、底堅く景気が回復している中、新たなバブルの火種やインフレを引き起こす前に利上げへの方向転換に舵を切りたいところだが、そう簡単にはいかない。

米国が利上げに金融政策を変更すれば、投資家はドル建ての資産にシフトし、とりわけ新興国から資金が流失し、金融市場に混乱が広がることが予想される。しかし、景気減速が鮮明となった中国経済など、新たなリスクが潜在するなか、ゼロ金利のままでは、有事の際に金利を引き下げて危機に対応するというカードが切れない。

米国の金融政策は、もはや自国だけの問題にとどまらず、世界の株式や金融市場に与える影響は計り知れない。こうした世界経済の構造を理解したうえで、FOMCの経済見通しや政策決定をウォッチすることは、投資をする上では不可欠なルーティンと言えるだろう。(ZUU online 編集部)

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