弱気相場や乱高下到来の警告も
一方、利上げで弱気相場や市場の乱高下、さらに景気後退が引き起こされると警鐘を鳴らす有力投資家やエコノミストもいる。まず、「投資の神様」の異名をとるジム・ロジャーズ氏は、「利上げ後の来年か再来年に、調整または弱気相場が訪れ、それはリーマン危機より深刻なものになる」と不気味な予言をした。
また、経済予測や相場予想がよく当たり、「新債券王」の名が高いダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック氏も月例のウェブキャストで、「米利上げで、米株式市場は下落する」と予想した。
さらに、独アリアンツの経済顧問、モハメド・エラリアン氏は、「米経済は利上げ後、25~30%の確率で不況入りする」と予想。「今後のボラティリティに注意すべきだ」と、警鐘を鳴らしている。
企業業績への悪影響
翻って、ブルームバーグ通信のアナリスト、リサ・アブラモビッツ氏は、利上げ後の米企業業績の悪化を懸念している。同氏は、「米企業の債務の多くがこれから数年内に償還を迎える、まさにそのタイミングで、2018年11月には1.83%に達すると見込まれるベンチマーク金利が上がってゆけば、借り入れコストの上昇という結果を生む」と懸念する。バークレイズによれば、同年に2000億ドルもの投機級社債が償還期限を迎える。
最良のシナリオは、ハチウス氏の予想する経済回復の持続だ。そうすれば、利上げがあっても企業業績は上向き、返済も順調になる。だが、アブラモビッツ氏は、「現在インフレは過熱していないのにFRBが利上げをしてゆけば、企業の資金繰りがつかなくなり、大量解雇や倒産につながる恐れもある。そうなれば、米国はリセッションに逆戻りだ」と危惧した。
まだある利上げによる経済後退の要因
他にも、利上げでドル高が進行して輸出が減少、米国内では輸入品の価格低下でデフレ傾向が発生する可能性もある。借り入れコスト上昇は、住宅購入を抑えるかも知れない。利上げ後の市場は、これらの要因にも注目していくだろう。
(在米ジャーナリスト 岩田太郎)
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