2016年度税制改正
(写真=Thinkstock/Getty Images)

2015年も残りわずかとなった。去る12月16日に政府与党から発表された2016年度の税制改正大綱の中で、30代・40代の暮らしに大きく影響する改正の内容をお伝えしたい。

①3世代住宅リフォームの税額控除

現状の住宅を3世代同居に対応した住宅へ増改築・改修した場合、その工事費用のために借りたローンについて、2016年4月1日~2019年3月31日までの間に増改築・改修した場合、その工事費用のために借りたローンの年末残高に一定の割合を乗じた金額を所得税額から控除できるようになる。なお、控除期間は増改築の場合は5年、改修の場合は1年である。

3世代同居を考える人が多いであろう30代・40代の方にとっては、2016年4月からの3年の間で工事を実行すれば、所得税の節税につながるということで、3世代同居に対応した住宅リフォームを実行しやすくなる環境になると考えられる。

②セルフメディケーション推進のための医療費控除の特例

適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、2017年~2021年の間、自己又は生計を一にする家族が支払った以下の項目について、現状の医療費控除とは別枠の医療費控除の対象となる。

①特定健康診査 ②予防接種 ③定期健康診断 ④健康診査 ⑤がん検診

なお、医療費控除額は、支払金額マイナス1万2000円となり、控除限度額は8万8000円である。

現状の医療費控除では対象外であった項目が、現状の医療費控除とは別枠で控除の対象=所得税の節税に寄与することとなるため、30代・40代の方にとっては、健診や予防接種をより積極的に受診する動機になるであろう。

③配偶者・親族の負担すべき社会保険料控除の見直し

納税者と生計を一にする配偶・親族の負担すべき社会保険料に係る控除ついては、以下のとおり見直しを行う方向で検討することになった。納税者への影響や執行可能性を見極めた上で、次年度の税制改正において結論を得る。公的年金から天引きされる介護保険料については、その受給者と生計を一にする納税者おいて社会保険料控除の適用受けられず、その年金受給者の所得金額が小さいと誰からも控除できないとの問題が指摘されていることを踏まえての変更である。

【現行】
自己と生計を一にする配偶者・親族の負担すべき社会保険料ついて、納税者が支払った場合に控除を受けられる。

【見直しの方向性】
自己と生計を一にする配偶者・親族の負担すべき社会保険料ついて、配偶者・親族の合計所得金額が基礎控除(38万円)以下である場合に、納税者において控除を受けられる。

(備考)配偶者・親族の合計所得金額が基礎控除を超える場合には、配偶者・親族自身が控除を受けることなる。

30代・40代の方の場合、ご自身の親と同居されている場合は、その親が公的年金を受給している可能性が高いと考えられるので、この改正により、公的年金から天引きされている社会保険料があれば、2017年から所得税の節税につながるので、親が受給されている公的年金の社会保険料をご確認いただきたい。なお、社会保険料が控除可能な公的年金収入額は、親が65歳未満の場合は1人当たり108万円以下、65歳以上の場合は1人当たり158万円以下となるので、ご留意いただきたい。

通勤手当、消費税も

まとめると、30代・40代の暮らしに大きく影響する改正項目は、以下の通りである。今回は、特に影響が大きい(1)~(3)について概要を紹介した。なお、(5)については、軽減税率適用の詳細が未決定であるため、紹介を省略する。

(1)3世代同居に対応した住宅リフォームのためのローンに係る税額控除の創設
(2)セルフメディケーション(自主服薬)推進のための医療費控除の特例の創設
(3)生計を一にする配偶者・親族の負担すべき社会保険料控除の見直し
(4)通勤手当の非課税限度額の引上げ
(5)消費税率8%⇒10%への引上げ+飲食料品(外食・酒類を除く)の8%据え置き

(1)~(4)は減税方向、(5)は増税方向の改正内容となっている。 また、(1)、(4)は2016年度からの適用、(2)、(3)、(5)は2017年度からの適用となっている。

山野周太郎     公認会計士
1977年生まれ。神戸商科大学卒業後、大手監査法人に入社。上場会社の監査、上場準備会社へのアドバイザリー業務に従事。その後大手銀行のコンサル部門での勤務を経て、現在は大阪の会計事務所で医療法人、一般法人の税務顧問、資金繰りコンサル、法人成りコンサルを担当。

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