(写真=Thinkstock/Getty Images)
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2016年の世界経済の成長率は3%前後

年が明けるとともに、世界銀行(WB)、国際通貨基金(IMF)の両国際期間がら2016年世界経済見通しを相次いで発表し、今年の経済成長率の予測を明らかにした。2016年の世界全体の経済成長率についての両機関の見通しをみると、WBで2.9%の成長、IMFで3.4%の成長と、といずれも3%前後の成長を見込んでいる。

ただ、とりわけ昨年後半以降の原油価格下落、中国経済の減速などを重視してか、WBもIMFも市場ボラティリティや地政学的リスクの増大を反映させて、前回見通しから成長率予測を下方修正させている。注目すべきは、両者がそろって、2016年について相当な「下ぶれリスク」があると警告している点だろう。

特に、重要なリスクファクターとしてとして挙げられているのは3つの「シフト」だ。一つ目が、中国経済の段階的な減速(「新常態・ニューノーマル」への移行テンポ)と「投資と製造」から「消費とサービス」への構造転換、二つ目がエネルギーその他の一次産品価格の下落だ。

最後に、金融緩和姿勢に関する米国と他の先進国の逆方向シフトでとなっており、動向次第で、今後の経済の趨勢も大きく変わってきそうだ。

他方で、民間からの経済見通しについては、実体経済に関心の強い商社筋などでは相対的に厳しい先行きを強調し、金融経済の側に位置する銀行筋の見通しは比較的強気と見える。それぞれの立場の見方を、今回は検証する。

原油など資源安はなお継続か?商社を取り巻く苦しい環境

商社の立場の眼には、厳しい経済環境が映っているようだ。その中で、三井物産 <8031> の安永竜夫代表取締役社長によれば、軍事的な緊張がよほど高まらない限り、原油価格の高騰はないとみているという。また、現在の需給の不均衡は短期間では解消されず、原油だけではなく金属資源でも相場回復は3年から4年先になるのではないかという。

同氏はこうした考えを踏まえて、株価のボラティリティは高まり、世界経済は全体として減速すると見ているという。ブラジル、ロシアが資源安の直撃を受けるほか、難民問題などを巡って国粋主義的な動きが欧州内で強まれば欧州経済にも懸念が高まる可能性も懸念材料だともしている。

ほかにも、安永社長は、2016年は調整の年になるとの見方を示した上で、ブラジルは五輪を予定しているものの資源安の影響で厳しい経済環境に直面しており、ロシアも同様だと、マイナス要因になるのではないかとの懸念を表明している。

同氏の見方によれば、成長ゾーンの見極めが今年の経済環境では重要だという。中国国内での消費者の安全性への関心の高まりや、それを実現できるような流通網の整備により、開かれる商機もありまそうだ。

三菱商事 <8058> の小林健社長も一段の資源安は今年も続くとの見方を示し、シェール関連、ヘルスケア、農業など新事業領域育成をビジネスにつなげるのが次の挑戦だと、先を見据えているとのことだ。

金融界の見方は比較的「楽観的」

一方、金融の目線に対しては、経済環境は異なる様相を呈しているようだ。米国・FRBがいよいよ金融緩和の縮小に舵を切ったとはいえ、日銀の量的・質的な緩和策の継続が見通されるなど。カネ余り状況が続く見通しを踏まえながら、着実な経済成長に期待する声があがっている。

三菱UFJ国際投信の秦敏章部長は昨年11月の発言ながら「世界全体の成長率は2016年にかけて加速」、「米国の利上げがすぐに世界のリスク資産下落を呼ぶ恐れは少ない」、「中国経済は減速して当たり前の歴史的フェーズにある、政策対応の効果でクラッシュ(景気底割れ)は回避」と楽観的だ。

日本についても、同氏は「基本的には円安・ドル高トレンドが継続、強い企業業績を背景とした日本株上昇のシナリオが描ける」と、昨年末に言及している。

年明けに会見した三井住友フィナンシャル・グループ <8316> の宮田孝一社長も世界経済の成長率は3%台半ばだと言及した上で、中国国内では、株安に揺れているものの、消費主導への転換も進展し、不安感は和らいでいくとの見方を示した。同氏は、日本市場も上向くとの見方を示しており、「2万2000〜3000円の株価を期待」と、前向きな見方を示す。

実体経済派の見る慎重論と金融経済派の楽観論、そのいずれが当を得ているか即断することはできないが、実態経済のファンダメンタルズの改善も期待される。(ZUU online 編集部)

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