(写真=Thinkstock/Getty Images)
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1月に入り世界の株式市場は大きく下がった。欧米株市場はもとより日本株市場も1月22日にリバウンドするまで大きく売られた。そして、一連の下落の大部分は外国人投資家と見られている。

取引所が発表した投資部門別売買動向によると、1月15日までの2週間だけで現物株が6500億円以上の売り越し、先物市場では1兆円以上の売り越しとなっている。ただし、中国のSWFや海外のミューチャルファンド、またグローバルマクロ系のヘッジファンドの売りもあると思われ、どれぐらいの規模が中東オイルマネーの売りかは正確にはわからない。

日本株には4000億円程度の売り圧力が残る

オイルマネーの最高峰は昨年6月時点では、アブダビ投資庁(ADIA)の約7700億ドル(約90兆円)、サウジアラビア通貨庁(SAMA)の約6700億ドル(約80兆円)、クウエート投資庁(KIA)の約5900億ドル(約70兆円)、カタール投資庁(QIA)の約2500億ドル(約30兆円)と大手のSWFだけでも、総額にして270兆円程度の資金が運用されている。仮にこれらの3割から4割程度が株式で運用されているとすれば、80~100兆円程度の資金が世界の株式市場で運用されていることになる。

昨年のチャイナショックでSAMAが700億ドル程度の資金を米国から引き上げるとの報道が米紙よりあったが、この中には債券などの資産も含まれている。純粋に株式市場からの資金引き揚げがどの程度だったのかは不明である。

今回も同じような動きをするとみれば、SAMAだけで700億ドル程度、その他のSWFも合わせると270兆円の10%程度が引き上げ対象となり、金額で27兆円程度、このうちの株式市場から30%が引き揚げられるとすれば、金額にしておよそ8兆円程度となる。その中で日本株市場シェアが1割程度とみると、約8000億円の資金引き揚げがあるのではと予測することが出来る。

これは1月の外国人の売り越し額およそ6500億円と比べて見ると、また現物株の売りは続くかもしれない。しかし6500億円売り越しのすべてが中東オイルマネーの売りではないだろう。12月決算後評価損になることを恐れた海外ミューチャルファンドなどの売りも1/3程度はあるのではないかと考えることもできる。そうすると、8000億円程度を売却するとすればまだ3000~4000億円程度の売りが待ち構えているとも考えられる。

一方、1月以降の裁定解消売りを見てみよう。1月15日までの裁定買い残の減少は、およそ9600億円となっている。これに対して現物売りは約6500億円となっている。

現状では、外国人売買による現物株売りの多くは裁定売買に伴う解消売りと見られており裁定取引は損失の可能性が小さい。保有資産の保全を重要視している中東産油国の運用にとって、この裁定売買は重宝しているようだ。今回も裁定買い残減少の半分以上は外国人売買による売りと見られ、その大部分は彼ら産油国SWFの売りと見ている。また現在個別の現物株のみで保有を行っているのは、すでに10年以上も前から保有している大型株が多く相場急変でのろうばい売りは少ないと思われる。

上述のように裁定解消売りによる買い残減少は1兆円近くにも及んでいる。それに比較してこの間の外国人売りは6500億円でしかなく、今回の急落過程で買い向かいを入れている外国人投資家もまた多いと思われる。際に海外ファンドにおいては、昨年の日本株の上昇で買えなかった海外年金や一部のグローバルマクロ系ヘッジファンドなどが買い向かっているということもあろう。

実際の売り圧力は1500億円程度

1月からのTOPIX先物売りがおよそ4900億円となっており、これらの大部分が保有現物株のヘッジとすれば、海外年金などのヘッジ部分があるとしても、その一部は中東産油国の売りヘッジも入っていると思われる。

半分程度とすると、2000~2500億円程度の現物株売りが今後出されるだろう。しかしこれらはすでにヘッジされているため、これに絡む現物株売りで指数を押し下げるような動きにはならない。

したがって上述のように中東産油国の売りがさらに3000~4000億円出てくるとしても、その中のすでに2/3程度はヘッジされており、実際に指数に影響される売りは500~1500億円程度と予測できる。したがって今後の中東産油国売りに伴う指数の下落はあまり心配する必要はないだろう。(ファンドアナリスト)

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