無事に我が子が希望の学校に合格。親にとってもうれしい出来事だが、心配なのは入学費や学費などの「学資」だ。学校にもよるが、数十万円から時には1000万円近くかかるともいわれている。

そんな時に親の強い味方になってくれるのが「教育ローン(学資ローン)」だ。目的を教育関連の経費に限定している融資で、高校や大学、大学院、専門学校、海外留学の授業料や入学金はもちろん、在学のための家賃などの用途に利用できる。

なかでも注目されているのが、金利面などいろいろと有利な点が多い国の教育ローン。しかし内容が充実しているだけに、審査が厳しいのも事実である。

そこで、国の教育ローンの内容や審査基準、審査に通らなかった場合の対処法などを紹介する。

目次

  1. 有利だが収入条件が厳しい国の教育ローン審査
  2. 教育ローンは条件を満たしていても審査が通らないことも
  3. 「奨学金」や「教育支援資金」の検討も
  4. 民間の教育ローンをどう選ぶか

有利だが収入条件が厳しい国の教育ローン審査

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(写真=PIXTA)

教育ローンは、国、銀行、信託会社、消費者金融などさまざまなところから提供されているが、金利面や返済期間などからみて最も有利なのは、国の教育ローンと言える。正式には「教育一般貸付」(日本政策金融公庫)だ。まずは概要を紹介しよう。

【教育一般貸付の融資の内容】
限度額:最高350万円まで(海外留学資金〈一定の条件付き〉の場合は最高450万円)
金利:年1.81%(2017年5月2日現在)固定金利・保証料別
入金までの日数:20日程度
返済期間:15年以内

いかがだろうか。注目すべき点は多いのだが、この国の教育ローンについては「審査に通りにくい」との声もある。主な審査項目としては、世帯年収890万円以下であること(子ども2人の場合)。年収上限を超える場合、緩和条件もあるが、勤続(営業)年数3年未満、居住年数1年未満、年間所得に対する返済負担率30%超、などが挙げられている。決して厳しいとはいえないが、勤続年数3年以内などの付帯条件は、通らない人が多いかもしれない。

国の融資としてはある程度しかたのない面もある。一般の融資なら、担保があって収入も安定していれば比較的簡単に借りることができる。しかし、国の教育ローンの場合はあくまで収入が低く、現時点では現金も少なく、ただし長期的には返済能力はある人が対象となる。つまりある程度限定された層に対するローンともいえるのだ。それだけに、もし自分が対象になっているのであれば、ぜひ積極的に利用を考えたいローンではある。

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教育ローンは条件を満たしていても審査が通らないことも

条件は整っているのに、教育ローンの審査に通らなかったという例も散見する。

その理由の第一に考えられるのは、個人の信用情報に傷がついている場合だ。信用情報の傷とは、たとえばクレジットカードの事故情報(利用料の引き落としができなかった、延滞している)などだ。

つまり過去、お金に関する信用を損ねるような履歴があると、いわゆる「ブラックリスト」に登録されてしまい、国の教育ローンの審査が通る可能性はかなり下がってしまう。

こうした事態を避けるためには、教育ローンの申し込み前に、身辺の信用情報を綺麗にしておく必要がある。ただ信用情報の修復ができない、という場合もあるだろう。本人がそれに気づいていないという例も多い。

たとえばスマートフォンをクレジット契約で購入し、支払いが数カ月滞ったとする。この場合、その後の返済をすべて無事に終えても、滞納情報は5年間、個人信用情報機関に残るそれとは知らず教育ローンの申込審査をしても、通らないことは十分に考えられる。

すでにブラックリストにのっている人は、国の教育ローンはあきらめ、民間の教育ローンなどを検討したほうがいいだろう。

「奨学金」や「教育支援資金」の検討も

教育費の公的な補助制度として、「奨学金」や「教育支援資金」も上げておきたい。

奨学金もさまざまあるが、とくに日本学生支援機構の制度は、有利子タイプの場合、年収などの条件を満たせばほとんどの人が利用できる。

毎月の学費に利用できるし(例:一般大学 月額3万円〜12万円)、前述した日本政策金融公庫の「教育一般貸付」の審査に落ちた人を対象とした「入学時特別増額」という制度もある(10万円〜50万円)。

一方の「教育支援資金」は、教育ローンなどの教育資金が借りられず、なおかつ低所得などの一定の条件のもとに無利息で借りられる教育資金で、社会福祉協議会で扱っている。こちらは入学金(50万円以内)や授業料(例:大学 月6.5万円以内)として利用できる。

民間の教育ローンをどう選ぶか

公的な教育ローンはどれも審査が通らなかったという人は、銀行、消費者金融、信販会社など民間の教育ローンが候補に挙がる。選択の基準は金利(もちろん低いほうがいい)、借入金額(必要十分な金額を借りることができるか)、返済期間(長期だと毎月の返済が楽)、などだ。

こうした観点から、各種ローンの比較検討サイト「イー・ローン」を利用して「教育ローン」を調べてみたところ、スター不動産担保ローン (東京スター銀行)、とちぎん進学ローン (栃木銀行)、ちゅうなんドクター教育ローン (中南信用金庫)、大阪シティ教育ローン(大阪シティ信用金庫)、学資ローン(神奈川銀行)、教育ローンリピート(興能信用金庫)などが、実質年率が低いと評価された。

不動産担保ローンは、今回のテーマと趣は異なるが、もし不動産を所有している人なら、こうした有利なローンを学資として利用するのもいいだろう。また上記内容で比較すると、意外と地方銀行や地域の信用銀行が上位に入っていた。融資条件も利用者にとって有利な面が多いようだ。ただし、使いみちや申し込み条件などはそれぞれ異なるため詳細は別途比較検討が必要だ。

公的な教育ローンの審査に通らなかったら(あるいは通るかどうか心配なら)、こうした地域の金融機関へ並行して申し込んでおくのもいいだろう。(ZUU online 編集部)

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