2019年6月の金融審議会市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」の公表により「老後の資金として2,000万円は必要」という言葉が世間をにぎわせました。老後資金の不足を懸念するこのニュースをきっかけに証券口座を開設し、NISAやiDeCoといった資産形成のためのチャレンジを始めた人もいるのではないでしょうか。

NISAやiDeCoを通じて投資の魅力に気づき「今後もさらに積極的に資産運用をしていきたい」と考える人もいるでしょう。その場合には、まず投資商品の説明などに出てくる用語の意味をしっかりと理解しておくことが重要になります。今回は、「デリバティブ」「スワップ」「オプション」などの用語の意味を解説します。こうした用語を理解しておけば、これから資産運用を行う上での選択肢が大きく広がるでしょう。

ニュースでよく見る言葉、どういう意味?

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(画像=PIXTA)

「ニュースや新聞でよく見るけれど、どんな意味かはよくわからない」という言葉はありませんか。投資関連でよく使われる金融用語をいくつか紹介していきます。

・デリバティブ

デリバティブは、「金融派生商品」とも呼ばれています。株式や債券、通貨、金利などの原資産から派生した金融商品であるため、このような名前が付いています。デリバティブ取引とは、この派生して生まれた金融商品を取引するもので、代表的なものとしては「オプション取引」「スワップ取引」「先物取引」などがあります。

また、デリバティブ取引には投資資金を担保(証拠金)として預け、その数倍もの金額の取引をすることができるという特徴があります。そのため「少ない資金で大きな取引をしたい」という人にも向いている投資といえるでしょう。ただし、デリバティブ取引を行う際には、株や投資信託の取引口座とは別に専用口座を開設する必要がある場合もあります。

資産や投資経験など各金融機関によって開設基準が異なるため、投資を希望する際は確認しましょう。

・オプション取引

デリバティブ取引の一つであるオプション取引は、あらかじめ決めた日または期間中に、あらかじめ決めた価格で買う権利(コール)もしくは売る権利(プット)を売り買いする取引です。代表的なオプション取引の種類には「日経225オプション」「TOPIXオプション」のような株価指数を利用するもの、「有価証券オプション」のように個別の有価証券を利用するものがあります。なお基本の取引方法は以下の4通りです。

・コールの買い(例:ある有価証券を〇円で買う権利を×円で買う)
・コールの売り(例:ある有価証券を〇円で買う権利を×円で売る)
・プットの買い(例:ある有価証券を〇円で売る権利を×円で買う)
・プットの売り(例:ある有価証券を〇円で売る権利を×円で売る)

オプション取引は期日または期間が決まっているため、権利をそのまま保有しておくことはできません。そのため「期日または期間中に決済する」「期日または期間中に権利行使もしくは権利放棄が必要」といった注意点があることを覚えておく必要があるでしょう。

・スワップ取引

スワップ取引で交換されるものは「金利」や「通貨」などがあります。金利スワップでは同じ通貨で異なる金利を交換することになりますが元本部分は交換されません。

代表的な例の一つとして、変動金利と固定金利のスワップがあります。例えば、「変動金利でローンを組んでいるが、今後金利が上昇すると予測しているので、そのリスクヘッジとして固定金利にしたい」と考えている人がいた場合、「固定金利でローンを組んでいるが今後は金利が下がると予測しているので変動金利で支払いたい」と考えている人と金利スワップ取引をすることで両者のニーズを満たすことができます。この場合、前者のローンの変動金利を後者が代わりに支払い、逆に後者のローンの固定金利を前者が代わりに支払うことになります。

・先物取引

ある商品をあらかじめ決められた期日に現時点で決めた価格で売買することを約束するのが先物取引です。先物取引で扱われる商品は、金、銀、原油、大豆のような現物があるものだけでなく、日経平均株価やTOPIXのように株価指数を利用するものなどさまざまです。株価指数先物取引の場合、期日までに買い(もしくは売り)時点の先物価格と取引時点の先物価格の差額を受け渡す差金決済を行います。

これらの用語を理解した上でチャレンジすべき投資先は?

「デリバティブ取引」「オプション取引」「スワップ取引」「先物取引」など投資に関わる用語を理解した上で、検討するべき投資先の一つが仕組債です。仕組債とは、普通の債券に株価指数や為替レートなどの指標の値動きを参照するデリバティブ取引を組み合わせたもので、普通の債券よりも高い利回りが期待できる商品です。

高い利回りが期待できることが仕組債のメリットですが、一方で注意点もあります。例えば、株価指数などの指標が観察期間中に一度でも判定水準以下となった場合(例:日経平均株価が当初株価の50%以下に下落など)、最終評価日の指標の終値によっては、払い込んだ金額以下になって戻ってくるおそれもあります。

また流動性にも注意が必要です。仕組債の流通市場は確立されていないため、「中途売却したくても売却できない」「売れたとしても見込みより大幅に損失を出してしまう」といった可能性もあります。これらのメリット・デメリットをしっかりと押さえた上であれば、投資商品の選択肢の一つになるでしょう。

今後投資の幅を広げていきたい場合は、仕組債など少々複雑な商品への挑戦も検討してみてはいかがでしょうか。

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