銀行口座を開設する際に、多くの人が確認するポイントの一つに、「金利がどのくらい付くか」という点があります。現在、日本の銀行の普通預金の金利は税引前で1%を切っていますが、銀行ごとに金利を比較してみると、最大で200倍もの差があることがわかります。

こうした状況を踏まえ、高金利を満たすための条件や、金利と利息(利子)の違い、さらに利息にかかる税金など、基礎的ですが意外と知られていないポイントを解説します。

メガバンクをはじめ限りなく0%に近い普通預金の金利

キャッシュカード,預金
(画像=PIXTA)

銀行の金利は下降の一途をたどり、いまやメガバンク等の普通預金金利は0.001%(税引前)と限りなく0%に近いようで、預金者にとってはメリットを感じにくい状態となっています。これに対して、人件費や店舗費用などの固定費が不要なインターネット専業の銀行(以下、ネット銀行)は、大手銀行に比べて一般的に金利が高いとされています。

ネット銀行では普通預金で0.1~0.2%(税引前)という高金利の銀行も存在しますが、こういった銀行のほとんどは高い金利を提供する代わりに、残高など何らかの条件を設けていて、預金者はそれを満たす必要があります。

ただ中には、特別な条件なしでも、ネット口座による取引で普通預金の金利0.2%(税引前)が適用される銀行も存在します。0.001%(税引前)のメガバンクなどと比べるとその差は実に200倍にもなるため、銀行口座を開設するのであれば、こうした金利が適用される銀行があることも「新常識」として知っておくとよいでしょう。

金利に影響を及ぼすのはどのような要素か?

金利は銀行によって異なるため、少しでも金利が高い銀行を選んだ方がよいと考えられます。金利に影響を及ぼす要素としては、定期預金と普通預金の違いや、銀行が求めている前提条件などが挙げられます。

定期預金と普通預金

金利には銀行によって大きな差がありますが、こういった金利の幅にはどのような要素が影響しているのでしょうか。まずは普通預金と定期預金について比較します。

銀行は預金を貸付資金として活用し利益を生み出すために、預入期間がある定期預金の金利は一般的に普通預金に比べて高めに設定しています。また、預ける金額が大きく期間が長いほど、定期預金の金利は高くなるのが原則となっています。預けた金額は一般的には元本割れしないため、預入期間中に使用する予定のないお金であれば定期預金を選ぶのも選択肢の1つといえるでしょう。

ただ、定期預金は事前に選んだ満期日まで預金の払い戻しをしないことを条件に、普通預金よりも高めの金利を提供する仕組みとなっています。そのためお金が急に必要となっても自由に引き出すことはできず、中途解約手続きが必要となります。

その場合は約束した満期日まで預けていないことから、利息として付く金額を減額されてしまうこともあります。どの程度減るかは預けていた期間や銀行のルールで変わってきますが、中途解約利率が適用されるため、金利は当初設定された利率よりも下がる場合が多くなっています。

定期預金の金利は普通預金よりも高いことが多いものの、超低金利時代の現在ではその差はわずかとなっている場合がほとんどです。

条件を満たすことで高金利になるケース

利用者が一定の条件を満たすことで高金利を提供している銀行もあります。一般的に、高金利を提供してもらうためには、預金者が下記のようなさまざまな条件を満たすことが必要とされています。

1)預金残高が一定以上ある
2)給与や年金の振込み口座に指定している
3)会員制のステージランクが高い
4)グループ証券の口座と連動している

例えば、預金残高が300万円程度と一定以上あれば普通預金に0.15%(税引前)と高金利が適用される銀行や、給与または年金の振込先口座に指定しておくことで高金利を提供する銀行があります。給与振込先の指定口座にすると普通預金金利が0.1%(税引前)程度まで上がる場合や、国民年金、厚生年金、共済年金などの公的年金の指定口座にすることで普通預金に特別金利が適用されるといったケースです。

大手流通系のネット銀行は、買い物などで使った金額によりステージランクがアップする会員制を導入しています。普通預金の金利は通常0.001%(税引前)とメガバンクなどと同程度ですが、4段階の最高ステージになると0.1%(税引前)までアップするとのことです。

最近では証券口座との連動サービスにより、0.1~0.2%(税引前)という高金利を普通預金で提供するネット銀行もあります。普通預金口座をグループの証券会社口座と連動させることで、大幅な金利優遇サービスを提供しています。

ただ、こういった高金利をうたうネット銀行の条件を満たすことは、そう簡単ではありません。金利の優遇を受けるために、新たに証券取引を始める必要があるなど、一定のハードルが設けられています。給与振込先口座の指定についても、様々な理由で難しい場合もあるでしょう。

その一方で、店舗も持つ銀行なのにもかかわらず、ネット支店を利用すれば0.2%(税引前)という破格の金利を提供している銀行も存在します。コストが低減できるネット口座ならではの専用金利であり、高金利をうたう他のネット銀行が提示するような条件が一切ないことは大きなメリットといえるでしょう。

金利が違うとこれだけ変わる!金利の見方や注意点

上述したように、普通預金の金利は銀行によって0.001%(税引前)から0.2%(税引前)と大きな差がありますが、そもそも金利とはどのようなものなのでしょうか。金利表示を確認するうえで知っておくべきポイントを、改めて解説します。

金利とは貸し付けた、または預け入れた資金に対する利息の割合のことで、「%」で示されます。資金を借りた側(預かった側)が貸した側(預け入れた側)に対し、借りた金額(預け入れた金額)に対して上乗せして支払う金額の割合を意味しています。

例えば年間100万円を預けていて金利が0.2%(税引前)の場合は、単純計算で年間で2,000円の税引前利息が付く計算になります。この0.2%が「金利」であり、金利によって増えた2,000円という金額が「利息」または「利子」と呼ばれます。

もし金利がメガバンクなどと同じように0.001%(税引前)であれば、預けた100万円に付く利息は税引前の単純計算でわずか10円にしかなりません。0.2%(税引前)だった場合の2,000円(税引前:単純計算)と比べてみると、その大きさの違いがわかるでしょう。

もう一つ知っておきたいのは、貯蓄の利息は収入とみなされて税金がかかることです。銀行はあらかじめ税金分を計算して利息から差し引いて預金者に支払うため、預金者は自分で手続きせずに税金を払っていることになります。

税率は所得税15%と地方税5%、復興特別所得税0.315%の計20.315%となっています。東日本大震災で導入された「復興特別所得税」が2037年まで課税される仕組みで、その分が「所得税×2.1%」の税率で加算されています。

口座の開設時に金利以外で注意すべきポイント

銀行口座を開設する際に注意したい点は金利だけではありません。お金を引き出す際に発生する出金手数料や、さらにその口座を開く目的や用途の明確化も大切なポイントといえるでしょう。

利用できるATMの数や手数料の有無を調べておく

銀行口座を開設する際に金利以外の留意すべき事項として、普通預金の入出金や振り込み時に発生する手数料が挙げられます。中でも出金はどうしても回数が多くなりがちで、手数料の合計金額も大きくなるため注意が必要です。そのため、できるだけ無料で利用できる口座であることが望ましいといえるでしょう。

銀行の窓口で出金するのであれば、通常手数料はかかりません。ただし、毎回窓口に行く訳にいかず、多くの場合、ATMを使って出金していることでしょう。口座開設にあたっては、どこのATMで引き出せるかということをはじめ、手数料の有無や金額、無料利用回数などの条件を調べておくべきでしょう。利用できるATMの数が多く、無料利用回数も多ければ、利便性・出費抑制ともに優位性が高いと言えます。

口座を開設する時は目的の明確化が重要

銀行口座を持つに当たっては、その口座の目的を明確にしておくことも重要です。貯蓄目的であれば定期預金が適しているといえますが、何かあっても満期までは手軽に引き出すことができないという制約があります。一方で、いつでも引き出せる普通預金は自由度が高いものの、なかなかお金が貯まりにくいと考えられます。

もしも貯蓄をしながら必要な預金を引き出せ、金利も高いという銀行があれば、預金者には大きなメリットといえるでしょう。

最近は預金者のこういった要望に対応し、買い物など利用金額の一部を自動的に積み立ててくれるアプリも登場しています。インターネット口座の利用者がデビットカードで買い物すると、あらかじめ自分が決めた貯蓄目的別に利用金額の一定割合を別途普通預金残高から積み立てるというサービスです。

例えば10%の比率を設定しておけば、1,000円のランチをした時は別途100円が自動的に普通預金残高から貯蓄預金へ積み立てられるというような仕組みとなっています。支払いでお金を使ったら意識しない間に一定比率が積み立てられていく仕組みです。また、事前に設定しておけば、毎月一定金額を普通預金残高から貯蓄預金として積み立てることも可能になります。いわばスマートフォンひとつで操作できる「自動積立貯金箱」ともいえるでしょう。

このアプリを提供している銀行の大きな特徴は、普通預金金利が0.2%(税引前)であり、一般的なメガバンクなどの200倍に相当することです。さらに、ゆうちょ銀行ATMを利用した場合は入出金手数料が何回でも無料で、残高や回数を気にすることなく利用できる点も魅力と言えるでしょう。

普通預金で高金利かつ貯蓄に生かせる口座こそが理想

一般的には、生活費を引き出す口座を普通預金として、別途貯蓄用に定期預金の口座を持つ人が多いといえるでしょう。しかし、普通預金でも高金利で貯蓄しやすい仕組みがあれば、理想的といえるでしょう。

いつでも自由に引き出せる普通預金に一定の残高を入れて生活資金や臨時出費に備えながら、旅行や大きな買い物などの目的に向けて貯蓄もする‥。最近では、こうした仕組みを実現できるアプリなども登場しています。こうした仕組みを有効利用することが、最近の普通預金金利の状況を踏まえた銀行口座利用の「新常識」といえるのではないでしょうか。

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