贈与・相続に関するルールは都度見直されており、2022年にも大きく変更されることが噂されている。その影響で駆け込み贈与をする人が見られるが、制度を正しく理解すると思わぬ節税方法が見つかることもある。

そこで本記事では、生前贈与 (暦年贈与) のルールに関する今後の見通しと、効果的な節税対策などをまとめた。

生前贈与の持ち戻しが延長される ? 駆け込み贈与が増えるワケ

暦年贈与の見直しへの対応策 「孫への贈与」が効果的な理由
(画像=tamayura39 / stock.adobe.com)

2021年12月に公表された「令和4年度税制改正大綱」の影響で、今後しばらくは駆け込み贈与が増えるかもしれない。

原則として年間110万円以内の生前贈与 (暦年贈与) は非課税だが、この制度には「持ち戻し」と呼ばれるルールが存在している。

持ち戻しとは、生前に贈与した資産を相続税の対象に含める制度のことだ。現行では国内の持ち戻し期間は3年であるため、贈与者本人が亡くなる前3年以内に贈与された資産には相続税が課せられる。

本来、持ち戻しは資産の再分配機能を高める制度だが、日本の持ち戻し期間は欧米などに比べると極端に短い。やり方次第では節税をしながら多くの資産を移転できるため、現状が続くと富裕層などに資産が集中してしまう恐れがある。

この点は今回の税制改正大綱においても懸念されており、同文書には「中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める」と明記された。また、「諸外国の制度を参考にする」との記載も見られるので、将来的に生前贈与の持ち戻し期間は延長される可能性もありそうだ。

孫への贈与が効果的 ? 税制改正の対応策

持ち戻しのルールをよく読むと、実は対象が「法定相続人」に限定されていることがわかる。つまり、孫をはじめとした法定相続人以外の親族への贈与については、持ち戻しルールの対象外とされているのだ。

また、日常生活に必要な出費が贈与税の対象にならない点も、贈与者が覚えておきたいポイントである。例えば、孫の入学金や授業料、下宿費などを祖父母が負担する形であれば、基本的に贈与税が発生することはない。

仮に相続とみなされた場合でも、贈与先に孫を選ぶと相続税を一世代飛ばすことができる。
孫への贈与にはいくつかメリットがあるため、選択肢のひとつに加えてみてはいかがだろうか。

贈与判定されないケースも ? 孫への贈与で注意したい3つのケース

孫への贈与は効果的な節税対策になり得るが、実はケースによっては贈与判定されないことがある。
ここからは特に注意したい3つのケースをまとめたので、生前贈与を予定している場合はしっかりと確認しておきたい。

●孫への贈与で注意したいケース1.孫の資産を贈与者が管理している

生前贈与は、贈与者 (祖父母) と受贈者 (孫) が互いに「資産を渡す」「資産を受け取る」という意思疎通をしていることが前提となる。つまり、孫に内緒で積み立てたお金や物心がつかないうちに渡した資産などは、贈与として認められない可能性がある。

このようなお金を贈与として認めてもらうには、事実 (関係者や日付、金額など) を明記した贈与契約書が必要になる。また、お金を振り込む通帳については、貯蓄用ではなく孫が普段使っているものを使用することが望ましい。

ちなみに、通帳などに記録が残っていないと「本当に贈与をしたのか ? 」と疑われる恐れがあるため、孫に現金で直接渡す方法は控えるようにしよう。

●孫への贈与で注意したいケース2.両方の祖父母が孫に贈与している

孫が複数の贈与者から資産を受け取っている場合は、思わぬ形で贈与税が発生してしまう可能性がある。

例えば、父方・母方の両方の祖父母が、ひとりの孫にそれぞれ100万円ずつ贈与するケースを考えてみよう。

このとき、贈与税の判定は資産を受けとる受贈者 (孫) の立場から行われるため、孫は合計で200万円の資産を贈与されたことになる。つまり、年間で110万円を超えた分 (90万円) については、税率10%の贈与税が発生してしまうのだ。

したがって、複数の者から贈与を受ける場合は、それぞれの金額を事前に把握しておかなければならない。

●孫への贈与で注意したいケース3.必要な生活費などをまとめて負担する

前述の通り、日常生活に必要な出費は贈与として扱われない。ただし、このルールは「必要なタイミングで都度負担すること」が前提となるため、必要な費用をまとめて負担すると課税対象になる恐れがある。

特に注意しておきたいのは、数年分の教育費や生活費をまとめて渡すケースだ。孫が大学などへ進学するときにありがちだが、贈与税を回避するには各費用 (入学金、教科書代、家賃など) が必要なタイミングでお金を渡さなければならない。

また、渡したお金を別の用途で使われた場合も課税対象になってしまうため、孫の生活をサポートするときには「お金の使い道」も合わせて伝えるようにしよう。

贈与・相続に関するルールは今後も変更される可能性がある

贈与の持ち戻し期間は延長される可能性が高いものの、相続人への贈与にこだわらなければ節税できる方法はいくつかある。ただし、将来的には孫への贈与が持ち戻しの対象になる可能性もあるため、贈与・相続に関する改正はこまめにチェックすることが重要だ。

特に生前贈与を検討している場合は、毎年の税制改正を欠かさず確認するようにしよう。

(提供:大和ネクスト銀行


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