2024年4月に金融経済教育の推進を目的として「金融経済教育推進機構 (J-FLEC) 」が設立された。あわせて「J-FLEC認定アドバイザー」が生まれ、アドバイザーは一定の中立性を持って顧客視点で金融相談などに乗ることができる。日本全体で金融教育が推進されているなか、資産運用を始める人にとっては心強い味方になるだろう。
本記事では、新たに設立された金融経済教育推進機構の概要について紹介する。また、J-FLEC認定アドバイザーが、従来の枠組みで活動するFP技能士やCFPとどのように違うのかなどについても解説していく。
金融経済教育推進機構 (J-FLEC) とは ?
J-FLEC (※読み方はジェイフレック) は「金融サービスの提供および利用環境の整備等に関する法律」に基づいて2024年4月に設立された組織だ。日本銀行が事務局を務める金融広報中央委員会や全国銀行協会、日本証券業協会が発起人となった。それぞれが官民で別々に取り組んできた金融教育の司令塔の役割を果たしている。
事業内容は、講師派遣や無料イベント・セミナーの開催、個別相談、学習教材の提供、そして冒頭で触れた「J-FLEC認定アドバイザー」の認定・公表などだ。
J-FLEC認定アドバイザーとは ?
J-FLEC認定アドバイザーには、「金融機関に所属しない」「金融機関から報酬をもらっていない」といった特徴がある。J-FLECが公開している資料では、「J-FLECが定める認定要件に合致し所定の審査を通過した個人を、一定の中立性を有する顧客の立場に立ったアドバイザーとして認定」と説明されている。
実際にどういうことを相談できるの ?
J-FLECは、認定アドバイザーの無料相談を体験できる機会を提供する事業に取り組んでいる。この事業などを通じて、個々人が対面・オンラインや電話で相談に乗ってもらうことが可能だ。
具体的にJ-FLEC認定アドバイザーには、どのようなことを相談できるのだろうか。ここでは、3つの項目に分けて解説していく。
無料の対面・オンライン相談の場合
例えば対面・オンライン相談の場合、事前予約で最大1時間の無料体験相談が可能だ。決められた時間内で各状況に合ったアドバイスを提供するため、事前予約時にはJ-FLEC認定アドバイザーに相談したい具体的なテーマを記入する必要がある。具体的には、以下のような幅広いお金に関する事項を相談できる。
- ライフプランの立て方
- 家計の見直し
- 教育資金の準備
- 住宅ローンの借り入れ
- 金融資産の運用
- リタイアメントプラン など
ただし、具体的な納税額の計算や、どの金融商品を購入すべきかなどの相談はできない。電話相談とは異なり、対面やオンライン相談の場合は、実際に図表などの資料を提示しながらお金に関するさまざまな知識を説明してもらえる。
無料の電話相談の場合
電話相談では、主に以下のような事柄を相談できる。
- 家計管理
- NISAやiDeCoなどの資産形成支援制度
- 金融商品やサービスなどに関する疑問 など
対面・オンライン相談とは異なり事前予約が不要だが、相談時間は最大30分となっている。また、対面・オンライン相談と同様に納税額の計算や金融商品の提案などはしてもらえない。
有料の個別相談の場合
有料でJ-FLEC認定アドバイザーに相談に乗ってもらうことも可能だ。相談できる内容には、以下のようなものがある。
- 収入や支出の見える化
- 資産や負債の見える化
- ライフプラン表の作成
- 資産形成プランの検討
- アセットアロケーション (金融資産の種類・配分調整) の提案 など
無料相談と異なり、より一層個々人に合った内容を相談することが可能だ。
FP技能士やCFPとの違い
ちなみに、お金に関する専門家としては「ファイナンシャル・プランナー (FP) 」が有名だ。具体的な資格としては「FP技能士」や「CFP」があるが、J-FLEC認定アドバイザーとはどのように違うのだろうか。
FP技能士とは ?
FP技能士は、J-FLEC認定アドバイザーと異なり「国家資格」で1~3級に分類される。銀行や証券会社などに所属したり、自ら事務所を開いたりしてそれぞれの得意分野を活かし顧客に貢献している傾向だ。金融機関から報酬を受け取ることは禁止されてはいない。
CFPとは ?
CFPとは「Certified Financial Planner」の略で国際資格としての特徴を有する「民間資格」である。金融機関に所属するCFPもおり、基本的にFP技能士やJ-FLEC認定アドバイザーは、日本国内での活動で有効だが、CFPの資格保有者のなかにはグローバルな活躍をしている人も少なくない。
CFP保有率の高さで金融機関を選ぶ視点も
今後は、FP技能士やCFPに加えて、J-FLEC認定アドバイザーへの相談も視野に入れたい。これにより、幅広い専門知識を持つアドバイザーからの助言を得ることができ、資産運用の成功率が高まることが期待できる。
なお、金融機関に相談する際には、CFP資格の保有率の高さを判断基準にすることも有効だ。CFP資格を持つ担当者が多い金融機関は、どの担当者に当たっても質の高いアドバイスが期待できるため、安心して相談することができる。
自分の資産状況の整理を手伝ってもらい、資産運用に関するさまざまなアドバイスを受けてみてはいかがだろうか。
(提供:大和ネクスト銀行)
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