総務省統計局が発表した最新データを読み解くと、日本の高齢者の就業率は主要国のなかでも高い水準にあることがわかる。しかもその割合は、右肩上がりの状況だ。
こうしたなか、加齢に伴って体力の衰えなどで労働は大変になることを考えると、持っておきたいのが「あなたの資産に働いてもらう」という視点である。本記事では、主要国の高齢者就業率やシニア期の資産運用方法について解説していく。
高齢者の就業率を主要国と比べると ?
2024年9月、総務省統計局は「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」という統計情報を公表した。本統計は、高齢者の人口や就業率などが取りまとめられたデータだ。このなかで、日本と主要国の高齢者の就業率が比較されている。
主要国のなかでも高い水準
以下の表は、日本を含む8ヵ国における2013年と2023年の65歳以上の就業率を比較したデータだ。韓国のみ日本よりも就業率が高いが、いずれの欧米各国も日本よりは就業率が低い。そして、2013年と2023年を比較すると日本は就業率が5.1ポイント高くなっている。
国名 | 2013年 | 2023年 |
---|---|---|
韓国 | 30.7% | 37.3% |
日本 | 20.1% | 25.2% |
アメリカ | 17.7% | 18.7% |
カナダ | 12.5% | 14.4% |
イギリス | 9.6% | 11.3% |
ドイツ | 5.4% | 8.9% |
イタリア | 3.5% | 5.3% |
フランス | 2.2% | 4.2% |
日本における単独高齢者の就業率の推移は ?
続いて、日本における単独高齢者の就業率の推移を紹介する。65~69歳、70~74歳、75歳以上のいずれのデータも上述したように右肩上がりの状況だ。なお、65~69歳の就業率は2023年には52.0%に達しており、70~74歳でも3人に1人が働いている比率となっている。
年齢層 | 2013年 | 2018年 | 2023年 |
---|---|---|---|
65~69歳 | 38.7% | 46.6% | 52.0% |
70~74歳 | 23.3% | 30.2% | 34.0% |
75歳以上 | 8.2% | 9.8% | 11.4% |
シニア期に働くのは「あなた ? 」「あなたの資産 ? 」
ここまで65歳以上の就業率について紹介してきたが、この機会に「働く」ということについて改めて考える機会を持ってほしい。通常「お金を稼いでくれるのは誰か ? 」という問いには「自分自身」と答えるのが一般的だ。しかし実際には、「あなたの資産」もあなたのためにお金を生み出す存在であることを押さえておきたい。
「あなた自身」が働くということ
体力があるシニアであれば、自分自身が働きお金を稼ぐこともできるだろう。これは、社会貢献という意味でも非常に意義があるため、決して否定するつもりはない。しかしシニア期になるとどうしても心身が徐々に衰えていくため、現役世代のころと比較して働くのが大変になってくる。
「あなたの資産」が働くということ
一方、あなたの資産には「加齢」という概念がない。例えば投資元本が同額である場合、現役世代、シニア世代のどちらでも同じ投資対象で資産運用をすれば同じリターンが期待できる。そのため、シニア期を迎える前に「あなたの資産にも働いてもらう」という視点を持ちながら、実際に取り組みを始めておくことが重要だ。
資産運用のフェーズ別ポイント
資産運用に取り組む際は「世代によって抱えることができるリスクの程度が異なる」ということは、しっかりと理解しておきたい。これが、資産運用で失敗や後悔をしないための重要なポイントとなる。
リターンとリスクの関係は、表裏一体だ。一般的に高いリターンを求めると比例してリスクも高くなる。結論からいえば若いほうがリスクをとりやすく、シニアになるにつれてより堅実さが求められる。つまり、シニア期は「守り」の資産ポートフォリオが求められるようになってくる。
若者世代
若者世代が比較的高いリスクを取りやすいのは、仮に資産運用で損失が出たとしても、その損失を労働収入で補えるからだ。
中堅世代
中堅世代は、若者世代に比べて引退までの年数が短く、労働収入を得られる期間も限られている。そのため、若者世代ほどリスクを取らず、やや抑え気味の運用がセオリーとされる。
シニア世代
シニア世代は、多くの年金受給者が現役世代に比べて収入が低くなるため、最もリスクを抑える必要がある世代といえる。そのため堅実な資産運用、すなわち「低リスク・低リターン」の投資対象を選ぶことが一般的だ。
インカムゲイン狙いで外貨投資も
一方、シニア世代の資産運用ポートフォリオには、インカムゲインを狙う投資対象を組み入れ、リスクを抑えつつも安定収入を目指す方法も検討したい。例えば「外貨預金」は、円預金よりも高い利息が得られる。ただし為替変動リスクもあるため、インカムゲインのリターンを求めつつも一部リスクを許容することが必要だ。
インカムゲインのメリットは、不動産投資における「家賃収入」のように、保有している限り安定的なリターンを期待できる点にあり、シニア世代にも検討する価値のある選択肢といえる。シニア期の資産運用には、外貨預金をポートフォリオの一部に加えることをぜひ検討してみてはいかがだろうか。
(提供:大和ネクスト銀行)
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