クレジットカードの不正利用や特殊詐欺の被害は、年々増加している。安心して日常生活を送るためには、これらのトラブルに関する最新情報を知り、正しい知識を身につけたうえで適切な対策を講じることが必要だ。本記事では、クレジットカードの不正利用や特殊詐欺の被害実態と具体的な防止策について紹介する。

クレジットカードの普及や投資ブームの裏で……

クレジットカードの不正利用や特殊詐欺の被害実態は ? 自らできる具体的な対策も紹介
(画像=Kiattisak / stock.adobe.com)

クレジットカードの普及やNISAなどの税制優遇制度により、投資への関心が高まりつつある。特に、クレジットカードを使ったNISA口座への積立が可能になり、ポイントが貯まるなどのメリットから利用者が増えている。

しかしその裏では、クレジットカードの不正利用などの被害は増加傾向だ。親族や公共機関の職員などになりすます「特殊詐欺」や「SNS型投資・ロマンス詐欺」もなかなか減少に転じない状況となっている。

クレジットカード不正利用被害などのデータ推移

フィッシングサイトなどを使ってクレジットカード番号やアカウント番号を不正入手する手口の被害は、年々増加傾向だ。2018~2023年におけるフィッシング報告件数は、以下の推移となっている。2023年には、ついに年間報告件数が100万件を超えた。

西暦報告件数
2018年1万9,960件
2019年5万5,787件
2020年22万4,676件
2021年52万6,504件
2022年96万8,832件
2023年119万6,390件

特殊詐欺のデータ推移

続いて、オレオレ詐欺などの特殊詐欺についてだ。警察庁が公開している特殊詐欺の認知件数の推移は、以下のとおりとなっている。2018年から2020年にかけては、件数としては減少した。しかし2021年以降は、再び増加傾向となっている。

西暦認知件数
2018年1万7,844件
2019年1万6,851件
2020年1万3,550件
2021年1万4,498件
2022年1万7,570件
2023年1万9,038件

SNS型投資・ロマンス詐欺のデータ推移

SNSでの交流で信用を深めて投資金名目でお金をだましとる「SNS型投資詐欺」や、SNSを通じて恋愛感情や親近感を抱かせて金銭などをだまし取る「SNS型ロマンス詐欺」の件数も増加傾向だ。警察庁の認知件数ベースでは、2023年11月の件数は423件だったが、2024年4月は1,037件まで増えている。

年月認知件数
2023年11月423件
2023年12月539件
2024年1月626件
2024年2月688件
2024年3月989件
2024年4月1,037件

警察側の対策は ?

被害が増加傾向にある中で、警察も対策を講じている。その一つが、匿名・流動型犯罪グループ (通称:トクリュウ) に対する捜査だ。トクリュウは、特定のグループ名を名乗らず、SNSを利用して実行犯を集めることで主犯 (指示役) の特定を困難にする「匿名性」と、犯行メンバーを頻繁に入れ替え、実行犯を使い捨てる「流動性」といった特徴を併せ持つ犯罪集団である。この特性により、組織の全貌を掴むのが難しい。

そのほか、金融機関との連携による不審な送金に対する監視強化や、サイバー防犯ボランティアの拡大・活性化などにも取り組んでいる。しかし警察に頼りっきりでは、自分が被害に遭うことを完全に防げないのが現状だ。

被害を防ぐために自らできる対策は ?

クレジットカードの不正利用や特殊詐欺の被害に遭うことを防ぐために、自らできる対策にはどのようなものがあるのだろうか。

「デジタル監視」の仕組みを活用

まず取り入れてほしいのが「デジタル監視」という仕組みだ。フィッシング詐欺や不正利用をリアルタイムで監視するアラート機能付きのスマホアプリやサービスを活用し、自分の保有資産や金融サービスの利用状況に異常な動きがあった際、即座に通知を受け取れるようにしておきたい。

事前に設定が必要なケースもあるため、スマホアプリやサービスごとに今すぐ確認が必要だ。不正通知を受け取るメールアドレスは、日々使っているものにして通知を見落とさないようにしよう。

「SNSフィルタリング」術を磨く

信頼性のないアカウントや過度に高い投資リターンを約束する投稿は、自ら積極的に「フィルタリング」を行うことで目に入らないようにすることも有効な対策だ。具体的には「怪しいアカウントはブロックしてSNSのタイムラインに投稿が表示されないようにする」といった方法が挙げられる。

ブロックできず表示される投稿に対しても、「SNS上の情報は常に疑いの目を持って受け取る」くらいの慎重な姿勢が大切だ。

「ピアレビュー」の機会を活用する

投資家同士のピアレビューによる意見交換や情報共有は、信頼できる情報源や投資先を見つける際に有効な手段となる。「ピア」 (peer) とは「同僚」や「仲間」といった意味だ。

ただし、ピアレビューで得た情報も鵜呑みにせず、必ず自分でその情報源や投資先の信頼性を別の角度から分析・確認することが求められる。

主体的にリスクを認識し、対策を

現代の金融リスクは、クレジットカードの不正利用や詐欺だけにとどまらない。サイバー環境が複雑化し、金融サービスも多様化するなかで、さまざまな手口が今後も現れるはずだ。デジタル監視やSNSフィルタリングといった対策を講じることは、もちろん重要である。しかし、個々人が主体的に新たなリスクを認識しようと努め、被害に遭わないように対策をする姿勢も大切だ。

自分に忍び寄るリスクに対する嗅覚や対策を過信せず、接する情報には常に疑いの目を持つことを心がけたい。自分の中で対策をアップデートし続ける意識を忘れずに持つようにしよう。

(提供:大和ネクスト銀行


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