「乗るしかない、このビッグウェーブに」――。

iPhoneの新機種が発売されるたびに思い出すこの言葉。新製品を買い求める行列客が発した名言(迷言?)である。中国でもiPhone12の予約購入がすでにパンク状態。大きな波ができている。

中国, 株, MSCI
(画像=bluedog studio/Shutterstock.com)

中国人は社会の潮目を読むのが得意とされる。権威がボスに集中し、ボトムアップ型の提案や解決がそれほど期待できない社会においてはなおさらだ。アンテナを高くして潮目をキャッチし、今後起きるであろう潮流に乗ることこそ、人生で成功する秘訣。それは中国株の世界にも一定程度当てはまる。

売買ベースで個人投資家が約8割を占める中国株式市場。思惑で株価が動きやすく、ネット上の噂や憶測で簡単にストップ高になる銘柄も出てくる。現地の投資家はこの時流を読む“アンテナ”が備わっており、それが投資行動にも表れるような気がする。

例えば白酒株。貴州茅台酒(600519)宜賓五糧液(000858)の予想PERはいずれも45倍前後で、PBRは前者が15倍超、後者が12倍とやや割高だ(QUICKより、10/16時点)。

東洋証券
(画像=東洋証券)

しかし、投資家の間には、折からの白酒ブーム、実需の増加、ブランド力の向上などから「今は下がることはない」という“根拠なき確信”があるよう。このようなムードが株価を後押しすることが非常に多い。「もっと論理的に説明して」と問うのはヤボだろう。中国人に聞いても「うーん……。難しく考えなくていいんじゃない? 株が上がったら儲かるし」と諭されるのがオチだ。

「貴州茅台酒は上海市場で最も値嵩株であり続ける」という神話めいた不文律も耳にした。他社に追い上げられると株価が上昇し、トップの座を維持する。メンツ優先なのだろうか? 貴州茅台酒の株価は1712元(10/16終値)で、2位の厦門吉比特網絡技術の586.99元(同)をだいぶリードしている。もう少しアクセルを弱めてもいい気がするが……。

火鍋もそうだ。行列ができる「網紅(ワンホン)店」として人気の海底撈国際HD(ハイディーラオ、06862)。新型コロナの影響で業績はややつまずいたが、SNS映えする店として存在感は抜群だ。海南島で免税店を経営する中国旅遊集団中免(601888)は、中国人旅行客が殺到して話題になった。小米集団(シャオミ、01810)は、ファーウェイ問題の“漁夫の利”でスマホ需要が増えるという思惑が広がった。いずれの銘柄も、市場のネタと話題が大きな潮流を作り、波に乗るのが大好きな投資家を惹きつけた。

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中国株では、市場の潮流を読みながら分析し、投資していくことが重要だ。じゃぁ、これからの潮流は?となると、月並みではあるが第14次五カ年計画を踏まえて半導体や環境、ニューエコノミー関連になるだろう。「自主開発」というキーワードも目立ってきそうだ。個別株を業績面や政策面からウォッチしつつ、うまく波に乗った投資を行いたい。

奥山要一郎(おくやま・よういちろう)
東洋証券 上海駐在員事務所 所長
2007年入社。本社シニアストラテジスト等を経て、2015年より現職。
中国現地で株式動向のウォッチや上場企業取材などを行い、中国株情報の発信・レポート執筆を手がける。

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