中国株の時価総額は、日本市場よりはるかに大きく世界最大の米国市場に次ぐ規模だ。また2020年は、香港と中国本土のIPO(新規株式公開)調達額が世界の45%を占めるなど、中国株の注目度は高まり続けている。本記事では、そんな中国市場で成長を続ける有望企業を個別銘柄の時価総額ランキングから紹介していく。

目次

  1. 世界に占める中国市場の割合は?
  2. 中国市場の時価総額は約18兆9,508億米ドル規模
  3. 2021年の中国株式市場、年後半に大幅な伸びか
  4. 中国企業の時価総額トップ10をランキングで紹介
    1. 1位:騰訊控股(Tencent)
    2. 2位:阿里巴巴集団控股(Alibaba)
    3. 3位:貴州茅台酒(Kweichow Moutai)
    4. 4位:中国工商銀行(ICBC)
    5. 5位:美団(Meituan)
  5. 今後の中国市場の動向にも引き続き注目を

世界に占める中国市場の割合は?

まず中国市場を日本と米国の市場と比べてみよう。2021年5月末時点の世界の株式時価総額は115兆2,153億米ドルだ。各国市場が占める割合は、以下の通りとなっている。

<世界の株式時価総額において主要国が占める割合>

東洋証券
※2021年5月末時点

2021年5月末時点で米国は、世界の株式時価総額の約41.9%を占めトップだ。次いで中国市場(中国+香港)が16.4%で2位となっている。さらに注目すべきは、中国と香港単独でも日本市場を上回っていることだ。中国市場の規模感が非常に大きいことがよく分かるのではないだろうか。

中国市場の時価総額は約18兆9,508億米ドル規模

中国の各市場の時価総額(2021年6月16日現在)とその合計額についても説明しておく。各市場の時価総額は、以下の通りだ。合計額は、約18兆9,508億米ドルとなっている。

<中国の各市場における上場企業数と時価総額>

東洋証券
※香港市場は香港ドルから米ドルに、上海・深セン市場は人民元から米ドルに換算
※2021年6月16日現在(CNH/US:0.1563、HKD/US:0.1288、USD/JPY:110.71として換算)

また株式市場の時価総額の変化を2011年と2021年(2月末時点)で比べてみると中国市場は世界トップクラスであることも特筆すべき点だ。

東洋証券

上海証券取引所の2011年の時価総額は、約2兆米ドル台だったが2021年には6兆米ドル台に達している。香港取引所の伸びも同様に顕著だ。同じく2011年の時価総額は約2兆米ドル台だったが、2021年には6兆米ドル台に達している。つまり10年間で約3倍になっているという計算だ。ちなみに東京証券取引所の同期間の伸びは、2倍程度でロンドン証券取引所にいたってはほぼ横ばいの傾向となっている。

2021年の中国株式市場、年後半に大幅な伸びか

このように株式市場として「規模感」「時価総額の伸び」のどちらでも注目に値する中国市場。しかし2021年の中国株式市場はどのような動きを見せているのだろうか。中国市場における主要な株価指数といえば以下の3つが挙げられる。

・上海総合指数
・香港ハンセン株価指数
・深セン総合指数

2021年の年初から6月にかけては、香港ハンセン株価指数の伸びが顕著だ。1月4日~6月18日にかけて約4.84%増を記録している。また2021年の中国の経済成長率は、予想より高くなる見込みで株式市場に対する期待感は大きい。国際通貨基金(IMF)は、2021年4月、2021年の中国の経済成長率を前回予測の8.1%から上方修正し8.4%とした。

IMFは、経済成長率の上方修正の理由について、早々に新型コロナウイルスの抑え込みに成功したことに加え輸出の伸びや積極的な公共投資などを挙げている。これらを考慮すると2021年後半も中国市場は大きく伸びる可能性がある。

中国企業の時価総額トップ10をランキングで紹介

ここからは、中国市場に上場する企業の時価総額トップ10を紹介しつつ上位企業の業種や事業動向などについて触れていこう。

<中国市場における時価総額トップ10企業>

東洋証券
※2021年6月18日時点

1位:騰訊控股(Tencent)

騰訊控股(Tencent)は、中国のインターネットサービス大手だ。2021年5月に発表した2021年1~3月期決算では売上高が25%増、純利益が65%増となり、市場予想を上回る結果となっている。売上の増加は、EC(電子商取引)や教育サービスなどにおける広告収入が増えたことなどが理由。同社の中核事業であるオンラインゲーム事業は売上の伸びこそ鈍化したものの前年同期比で17%増となっている。

2位:阿里巴巴集団控股(Alibaba)

阿里巴巴集団控股(Alibaba)は、中国のネット通販大手だ。2021年1~3月期決算では、売上高が前年同期比64%増の約1,873億元(約280億米ドル)を記録。一方最終損益は54億元(約8億米ドル)の赤字に転落している。ただしこの赤字転落は、独占禁止法違反の罰金の支払いが大きく影響しており仮に罰金の支払いがなければ前年同期比18%増の262億元(約39億米ドル)の利益を残していたとされている。 ※1元=0.15米ドルとして換算(以下同様)

3位:貴州茅台酒(Kweichow Moutai)

貴州茅台酒(Kweichow Moutai)は、TencentやAlibabaのように日本でも知名度がある企業ではない。しかし中国国内では、白酒最大手として誰しもが知る企業だ。2020年の売上高は、前年比約11%増の約949億元(約142億米ドル)、純利益は約13%増の約466億元(約70億米ドル)とどちらも2桁成長を記録している。今後の事業拡大に対する期待感も大きい。

4位:中国工商銀行(ICBC)

中国工商銀行(ICBC)は、中国における四大商業銀行の一角を成し貸出額や預金額で最大規模を誇っている。2020年7月には、英フィナンシャル・タイムズ傘下の月刊雑誌「The Banker」による世界銀行番付において1位を獲得。ちなみにこの番付の1~4位はいずれも中国の銀行だ。

5位:美団(Meituan)

美団(Meituan)は、フードデリバリーサービスなどを手がけている企業だ。2021年1~3月期の決算は、コロナ禍が追い風になったこともあり売上高が前年同期から約120%増の約370億元(約55億米ドル)とすさまじい伸びを示している。美団は、無人搬送車を活用した無人配送の仕組みを構築しようと実証実験などに取り組んでいることでも有名だ。

しかし、2021年4月時点で中国当局から独占禁止法違反の疑いで調査を余儀なくされるなどが影響し株価は大きく下落した。

今後の中国市場の動向にも引き続き注目を

中国企業は、世界の中でも市場規模が大きく有望企業が多数存在している。先端技術に強みを持つ中国発のグローバル企業も年々増加傾向にあり、これらが株式市場のさらなる拡大に寄与することが確実視されている。今後の中国市場の動向にも引き続き注目だ。

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