3月第3週の東京株式市場は上値の重い展開となった。日経平均株価は一時1万7000円台を回復したものの、同水準ではさすがに買いが続かず伸び悩んだ。FOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げが年2回のペースで行われる方向が示されたことも、上値での買い控えを助長したようだ。

目先的には3月決算の期末配当を狙った買いが入りやすいタイミングにある。為替は円高傾向にあるが、米国の株式市場が堅調地合を維持している点には留意したい。ただ、日経平均株価で再び1万7000円台を回復し、さらなる上値を期待するには目新しい好材料が必要だ。

銀行・証券株の「信用買い残増加」が目立つ

それでは、今回は東証1部の「信用買い残増加」上位10銘柄のランキングを見てみよう。

(1) みずほフィナンシャルグループ <8411> 1327万900株
(2) 東芝 <6502> 1065万6000株
(3) りそなホールディングス <8308> 415万1100株
(4) 川崎重工業 <7012> 409万5000株
(5) 関西電力 <9503> 332万3000株
(6) 東京電力 <9501> 288万3100株
(7) 三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 284万3100株
(8) 新生銀行 <8303> 279万8000株
(9) 昭和電工 <4004> 214万2000株
(10) 野村ホールディングス <8604> 212万3800株
※3月15日現在。数字は増加分

信用取引の買い残や売り残のデータは、週末時点の数字が原則として翌週火曜日に更新される。今回のランキングは11日までの1週間に増加した買い残を示している。この週は相場の底堅さをみた個人投資家の買いが入りやすかったため、買い残は東京・名古屋の2市場トータルで1183億円増加した。みずほ、りそな、三菱UFJ、新生銀、野村と半分を金融株が占め、その他は電機・機械、電力などが並んだ。

なお、今回のデータが公表された15日以降、日経平均は4日続落した。今回のランキングで買い残が増えた銘柄には、反対売買による損切りの売りが出やすかったことに留意しておく必要があるだろう。

東芝は医療機器・白物家電両事業の売却先決定

今回は「信用買い残増加」ランキングから東芝、川崎重工業、関西電力の3銘柄を取り上げたい。

東芝は原子力施設、半導体などを主力事業とする電機大手。会計の不適正処理問題が尾を引いている。財務立て直しのため売却を検討してきた事業については、医療機器子会社をキヤノン、白物家電事業を中国の美的集団に売却することが決まった。

東芝の室町正志社長は、医療機器子会社の事業売却を急いだ理由について、債務超過に陥らないためだったと説明している。売却額は6655億円。今回の売却では、買収に名乗りをあげていた富士フイルムホールディングスから、売却益計上のタイミングがおかしいという疑義が示されており、トラブルの火種を残す形となっている。

川崎重工業、円高が業績に悪影響

川崎重工業は造船、鉄道、ガスタービン、航空宇宙など幅広い事業範囲を持つ総合重機大手。三井造船との経営統合が白紙撤回となった2013年、前社長らが解任され、現在の村山滋社長が就任した。今年2月には村山氏が会長となり、後任の社長に金花芳則常務が就任する人事が公表された。

事業領域はもちろんのこと、海外の事業展開も幅広く、話題に事欠かない川崎重工業だが、円高が業績に悪影響を及ぼす見通しで、目標株価を現実的な水準に引き下げる証券アナリストが増えている。2月中旬に269円という年初来安値を付けてから2割近く戻しているが、最近は伸び悩み気味である。

関西電力、高浜原発運転差し止め仮処分に反発

関西電力は大阪市に本社を置く電力大手。3月9日、稼働中の高浜原子力発電所3、4号機について、大津地裁が安全性が確保されていないとして、原告住民の要求を認め、原発の運転差し止めを命じる仮処分決定を出した。

関西電力は「承服できない」と反発し、法廷闘争を続ける姿勢を示している。同社は高浜原発の再稼働を条件に予定をしていた電力料金値下げを延期した。株価は18日まで10営業日続落となっており、まだしばらくは迷走が続きそうだ。(ZUU online 編集部)

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

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