日本がマイナス金利時代にとうとう突入し、投資・運用先の選択しは狭まるばかりだ。そんな時代の中で注目したいのは不動産への投資だ。「人口減少で需要が減少しており、不動産投資など割には合わない」と受け止められるかも知れないが、ツボさえ押さえれば有利な投資にもなりそうだ。
特に、有効な手段になりそうななのがREIT(不動産投資信託)で、市場で売買できるものもある。そのため不動産の専門的な資格や知識を心配しすぎずに始められる投資だともいえるだろう。もしかすると、人口も減っていく縮小社会に風穴をあける方法の一つになるかもしれない。そんなREITをより身近に感じられるよう、投資対象としての特徴や、有望な銘柄を探してみたい。
マイナス金利時代にREITを注目する理由
人口減少は確かに、不動産投資にとっても逆風だが、すべての不動産に負の影響を与えるわけでもない。マンションの居住者や労働人口が減ればもちろん、居住用不動産やオフィス不動産に対する需要も減る一方で、不動産の価格のすべてが下がってはいないからだ。
実際に、3月22日に、国土交通省が2016年1月1日時点での公示地価を公表したが、全国平均で前年比0.1%増と、小幅ながら08年以来8年ぶりに好転。大手不動産会社の関係者も「土地を取得し難い状況が続いてきており、ビルの稼働率やマンションの売れ方から(地価が上がっている)実感はあったが、ついに数字なった」と話す。
他方でまだ、「日本もようやくデフレ脱却か」と安堵する状況にはない。地価の上昇が一部の都市圏の上昇に留まっており、地方圏では引き続き地価の下落が続いているからだ。地価上昇の中身を見ても、公示地価の中で住宅地では0.2%の下落であるのに対して、商業地の地価は0.9%の上昇と対照的な動きを示している。
さらに、3大都市圏と地方圏を比較しても、傾向はなお不透明だ。公表された数字でも、3大都市圏商業地の地価が2.9%の上昇を示し、同住宅地価も0.5%の上昇を示した一方で、地方では商業地の地価が0.5%、住宅地の地価は0.7%の下落を示しており、都市部と地方で明暗が分かれた格好だ。また、大都市圏の商業地が今回の地価の全国平均上昇をけん引したと言えそうだ。
REIT指数にも吹く追い風
REIT市場全体に目を転じると、日銀のマイナス金利導入後に時価総額が過去最高を記録するなど、人気は高い。REITは投資家の資金に借入金を上乗せして運用しているため、金利の低下も追い風になっている可能性もある。特に、大都市圏のオフィスや、ホテルでは賃料、宿泊料の上昇が当面続くと見込まれ、分配金の引き上げも今後、期待できるかもしれない。
市場全体の値動きを示す東証REIT(J-REIT)指数は年初からのリターンが7.7%。3月の初めには、約1890ポイントをつけて年初来高値を更新しただけではなく、TOPIX(東証株価指数)のマイナス13%となる推移を尻目に大きく上昇している。
株価はこのところ回復基調にあるが、米国や中国の景気鈍化や、ギリシャなどの債務問題再燃、原油価格の再急落などにより、いつまた波乱の展開となるかわからない。その際、REITも連れ安するようであれば、買い場になる可能性もある。
都市部オフィスREITやホテル型REITに妙味アリか?
不動産市況の現状からすれば、有望な投資対象を選びやすくなる。REITにはオフィスや住宅、商業施設、物流、ホテル・旅館に特化するものや、各種物件に投資する複合型や総合型など、いろいろな種類があるが、そのうち、大都市にあるオフィスや商業施設に特化しているものを選べばよさそうだ。
あくまで一例に過ぎないが、港区のオフィスビルへの投資を中心とする森ヒルズリート <3234> や、大都市圏の高機能物流施設を中心に、世界最大手不動産投資顧問ラサールグループがスポンサーのラサールロジポート <3466> といった銘柄を選ぶ手もある。
ほかにも、ホテル特化型のREITという選択肢もある。衰退に向かっているとされる地域に立地しているホテルや旅館でも、最近は外国人観光客のインバウンド需要を享受しているところが多く、有望だとみられているからだ。
ちなみに、昨年の訪日外国人数は約2000万人と、安倍政権が2020年までの訪日外国人数の目標としていた数値にほぼ到達。政府は3000万人に目標数値を拡大する見通しだ。加えて、星野リゾート・リート <3287> や大和ハウス・レジデンシャル <8984>、ジャパン・ホテル・リート <8985> といったホテルREITは投資優待制度を設けており、宿泊や付属レストランの割引券をもらえる特典も、投資先のREITを選ぶ参考になりそうだ。(ZUU online 編集部)
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