相場,損を覚悟
(写真=PIXTA 記事=株主手帳2016年4月号掲載)

日本銀行の株価は、マイナス金利の追加緩和策発表で2月12日に3万5000円の昨年来安値を付けた。

量的金融緩和で膨大な国債を購入し、平成27年度上半期末(15年9月末)の日銀の総資産は366兆円(14年9月末277兆円)、そのうち国債は309兆円もあり、急騰した債券価格(利回りは低下)の今後予想される下落でバランスシートの資産劣化リスクを考慮すれば、当然の株価形成か。不動産バブル時期の上場来高値(88年12月75万5000円)の約22分の1である。

マイナス金利導入により、普通預金金利は過去最低の0・001%となり、証券会社は元本割れのリスクからMMFなどの販売を停止した。貸金庫が売れており、投資家は、臆病でより慎重になっている。

なぜなら、2月初旬に日経平均株価は昨年高値から20%以上下落し、テクニカルでは株式市場が「弱気相場」に入ったことを示し、債券のイールドカーブ(利回り曲線)は1%目盛りで見るとフラット化し「景気後退」のサインを点灯、景気先行指数も続落しているからだ。

4月1日に日銀短観(3月調査)が発表されるが、昨年12月調査の日銀短観では、大企業製造業の想定為替レートは1ドル119・4円で、円安でも大企業製造業の現状判断DIはプラス12と9月調査から横ばいで、先行き判断DIはプラス7と低下していた。

業種で見ると非鉄金属、生産用機械、自動車などが悪化し、原材料価格の値下がりで化学や鉄鋼が改善していた。非製造業も25から18と低下したが、訪日観光客の増加で宿泊・飲食サービスなどは好調だった。

企業業績は今16年3月期の第3四半期決算が出揃ったものの、1~3月の為替は1ドル113円前後の円高持続と予想し警戒したい。日銀短観(3月調査)でもドル円は製造業の想定為替レートが119円よりも円高想定とれば、業況判断DIは下落する。4月下旬から本格化する今16年3月期通期決算発表前に、内需・円高メリット関連を仕込みたい。

短観に続いて、4月27日~28日には日銀金融政策決定会合が開催され、28日に展望レポートが発表される。

2月の東京都区部の消費者物価指数(CPI)は前年同月で下落し、市場筋は3月以降、全国CPIも下落に転じデフレに逆戻りすると予想している。日銀は展望レポートで16年、17年の消費者物価、経済成長見通しを下方修正しよう。

ただし、2月27日のG20財務相・中央銀行総裁会議で、為替誘導のための金融政策は批判された。5月26~27日の伊勢志摩首脳サミットを控えて、4月の追加緩和は見送りとなれば円高要因となるから警戒である。

4月から投資が始まるジュニアNISAに期待し高配当利回りで、純資産倍率が0・9倍以下の低PBR銘柄の押し目拾いに徹したい。来17年3月期の企業業績は予想困難だが、会社計画を減益と発表する企業もあるまい。

ジュニアNISAは0歳から19歳までが口座開設できる未成年者口座で、投資可能期間は16年4月1日から23年12月31日までの8年間、非課税投資枠は総額640万円。18歳までに途中払出は、全非課税期間を通じた譲渡、配当などの支払いがあったものと見なされ課税され、譲渡損はなかったものと見なされる。すなわち、超長期保有に有利な口座で、目先の株価変動よりは、安定配当の企業に投資妙味があろう。

安定との視点から東証1部上場が好ましい。メガバンクを例に挙げれば、予想配当利回りは4%前後(2月29日時点)に対して、定期預金の利息は0・025%とその差120。倍「72の法則」で0・025%なら元本が2倍になるのに要する年数は、《(年利(単位%)×年数(単位年)=72)》で2880年、4%なら18年である。3月下旬の「権利付き」、4月以降の「権利落ち」相場のメガバンクにも注目したい。

東京証券取引所は望ましい最低投資金額を5万円以上、50万円未満と規定。全国の証券取引所は売買単位の統一を呼びかけ、100株に集約する方針で、移行期限は18年10月である。

高配当利回り・低PBR銘柄

16年もNISAを考慮し100株への移行が進んでいるが、効力発生日が4月1日に単元株を1000株から100株に変更する銘柄は、日本リーテック <1938> 、東葛HD <2764> 、味の素 <2802> 、タダノ <6395> 、日本トムソン <6480> 、野崎印刷紙業 <7919> 、三愛石油 <8097> 、センコー <9069> である。これらもジュニアNISAの買付に期待したい。

原油や為替など国際情勢の行く先が不透明な場合、相場に手を出す気にしないと考えて投資すれば、チャンスを見逃すことは少なく、目先の株価変動に一喜一憂することもない。バイ・アンド・ホールドの中長期投資なら、原油反騰待ちの商社株のように大きく値上がりするまで待てばよい。「待てば海路の日和あり」である。

始めから損を覚悟で相場せよ、思案すぐれば時期を失う

中西文行 株式会社ストラテジスト
【プロフィール】
法政大学卒業後、岡三証券入社。システム開発部などを経て、岡三経済研究所チャーチスト、企業アナリスト業務に従事。岡三インターナショナル出向。東京大学先端技術研究所社会人聴講生、インド政府ITプロジェクト委員。SMBCフレンド証券投資情報部長を経て13年に独立。ロータス投資研究所代表。(記事提供: 株主手帳 )

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