GoogleMap
(写真=Thinkstock/Getty Images)

新たな自動車関連市場を作り出している「自動運転自動車」とその技術。従来の自動車の生産だけではなく、ビッグデータや人工知能(AI)など、先端的なITも必要とされることから、開発競争も激化している。特に、自動運転の実現に必要な、さまざまなデータの争奪戦にも注目が集まっている。

その一つが「地図データ」だ。同データは自動運転技術の実現のために欠かせず、もしも同分野で覇権を握れば、世界中を走行する自動車に自社のデータを搭載させられるということだ。言い換えれば、地図データの提供元として大きなビジネスチャンスになるともいえる。

今回はこの激しさを増す、「地図データ」のスタンダードの座を巡る競争を解説する。

地図メーカーとしてフィンランド・ヒア社が先行

例えば、カーナビには地図データが不可欠だ。さまざまなセンサーによって検知する自動車の周辺環境や、予め用意されたデータなどから判断して、走行するために必要だからだ。結果、自動運転車を開発するにあたって、「地図データ」がこれだけ注目されるものになっている。

さらに言えば、電子化や自動化の進展に伴い、自動車業界のIT化が加速。さらには「地図データ」をベースに、いろいろなデータソースと連携させながら、機械学習や深層学習(ディープラーニング)に代表される人工知能技術を駆使したインテリジェントシステムの応用を図る動きも出てきている。現在ではまだ、自動車の運転支援のカタチでしか実用化されていないものの、自動運転車の開発に向けた機運が俄然、高まっている。

その中で、自動車メーカー大手は、自動運転車の実現に必要な「地図データ」の獲得競争にすでに動き出している。例えば、ドイツ系の自動車メーカーで作る「BMW・Audi・Daimler連合」は、フィンランド・Nokia社の傘下にあった地図メーカーだった「HERE」社を約28億ユーロ(約3800億円)で取得することに合意している。ドイツの自動車メーカー大手が「お互いに手を組んで、約3800億円を支払ってでも入手したかった地図メーカー」と言えば、いかに重要視されているかわかってもらえるかもしれない。

そのHERE社のケースを見れば、地図データが持つ市場価値の大きさがわかるだろう。トヨタ自動車 <7203> が出資するゼンリン <9474>や、パイオニア <6773> 傘下のインクリメント・ピーなど、日本の地図メーカーの動きも、今後注目される。

Google Map は対抗できるか?

大きなプレイヤーはほかにもいる。Googleだ。「Google Map」として2次元の、巨大な地図データを保有しているほか、カメラを搭載した車を世界中に派遣して、道路の周辺をインターネットで閲覧できる「ストリートビュー」機能を開発してきた

ほかにも、ドイツの大手自動車メーカー連合のHERE社へのM&Aと同じ方法で、地図機能の拡充をGoogleは図っているのだ。同社は2013年6月11日にさらに、イスラエルの地図アプリサービス企業のWazeを買収したことを発表。ユーザーがコミュニティを形成し、渋滞や事故などの道路状況に関する情報をユーザーから収集し、リアルタイムで共有する機能を入手したことになるだろう。

同機能はすでに、Googleマップのモバイルアプリケーションに、Wazeの地図データやリアルタイム交通情報を、新機能として追加しており、地図・交通データを活用したサービスの開発が強力に進んでいる。

さらに、Googleは、自動車メーカーのAudi、GM、本田技研工業 <7267>、ヒュンダイ自動車や、半導体メーカーのNVIDIAとともに、「オープン・オートモーティブ・アライアンス(OAA)」を結成。その後、日本からは、日産自動車 <7201>、三菱自動車工業 <7211> 、マツダ <7261> 、スズキ <7269>、富士重工業(スバル)<7270> が参画しており、GooleのモバイルOS・Androidを活用したソフトウェアの開発を進める構えだ。

現在、Googleは、2019〜20年頃の投入を目処に自動運転車の開発プロジェクトを推進しており、持ち株会社「Alphabet」の傘下に、自動運転車部門を設立する計画も持ち上がっている。地図メーカーとしてのGoogleが、自動車向け地図でも覇権を握り、自動運転車市場での優位性につなげられるか、まさに岐路を迎えている。

「3D地図」を作る取り組みも

自動車向けの地図データを巡る新たな取り組みもはじまっている。ガソリン・ディーゼルエンジンから電気自動車(EV)、さらに自動運転車へと、自動車業界のトランスフォーメーションが進む中、車道の周囲をコンピューター上に3次元(3D)で再現する地図の製作技術にも注目が集まっている。

最も象徴的のは名古屋大学の取り組みだ。加藤真平准教授らのチームは、3次元のマスター地図をクラウド上に作り出そうとしているのだ。クラウドにその3D地図を作り出しながら、地図データを最新の情報に常時、更新。最新データを共有するものだ。自動運転システム向けのソフトウェア「Autoware」とも組み合わせ、3D地図上で、自己位置推定、物体検出、経路生成、経路追従などの機能の実行まで視野に入れている格好だ。

また、「Autoware」は、ロボット・自動運転ベンチャーのZMPの次世代ロボットカー「RoboCarシリーズ」にも搭載されており、自動車がクラウド上で3D地図と連携し、路上を自動走行する日もそう遠くないかもしれない。

対抗する自動車メーカー各社とも、複数のアプリケーションサービスを組み合わせながら多元的に利用するという動きが主流。車載システムの「地図」のスタンダードの座を巡る競争も、様々なプレイヤーを巻き込んで激しくなりそうだ。(ZUU online 編集部)

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