4月18~22日の東京株式市場は、前週に続き不安定な値動きとなった。18日は、熊本地震による経済の停滞を嫌気した売りの勢いが強く、日経平均株価は急落した。翌19日以降は円高一服を好感した買いが優勢となり、週末まで4日続伸。22日には「日銀が金融機関への貸し出しにもマイナス金利を検討する」と一部で報じられ、円相場が下落したため、日経平均は2カ月半ぶりに1万7500円を回復した。

目先は、米国時間26~27日のFOMC(米連邦公開市場委員会)、27~28日の日銀金融政策決定会合が注目されるが、市場では日銀の追加緩和が実施されるとの観測もあり、波乱含みの展開も予想される。

東証一部のPER上位10社の顔ぶれ

それでは、今回は東証1部のPER(予想株価収益率)上位10社の顔ぶれを見てみよう。

(1) 丸栄 <8245> 1150.00倍
(2) ブレインパッド <3655> 1063.51倍
(3) だいこう証券ビジネス <8692> 632.20倍
(4) ペプチドリーム <4587> 456.65倍
(5) 一正蒲鉾 <2904> 381.48倍
(6) 愛眼 <9854> 353.23倍
(7) アイロムグループ <2372> 327.59倍
(8) 中越パルプ工業 <3877> 275.32倍
(9) ティアック <6803> 252.94倍
(10) 日本製紙 <3863> 252.31倍
※4月22日終値で算出。ヤフーファイナンスのランキングに準拠。

PERは、株価を予想EPS(1株当たり純利益)で割って算出する。売上高に比べて純利益を低く予想した企業や、目新しい買い材料が出て将来利益を織り込んだ株価形成がなされた企業が上位に入る傾向が強い。

百貨店の丸栄は黒字転換を予想

今回はPERの上位ランキングから丸栄、だいこう証券ビジネス、中越パルプ工業を取り上げたい。

丸栄は名古屋・栄に店舗を構える百貨店。同じく名古屋に本社を置く製薬会社の興和傘下で再建を目指している。丸栄では、利益率の高い衣料品が不振で、訪日外国人向けの免税販売を強化する方針だ。4月14日に発表した2017年2月期の連結業績予想は黒字転換を予想。売上高225億円に対し、純利益は1000万円とかなり手堅く見積もっており、PERが跳ね上がっている。

名古屋ではJR名古屋駅にあるジェイアール名古屋高島屋が地域一番店となる一方、松坂屋や三越などの名門が苦戦している。丸栄にとっては競合との差別化が急務だ。

だいこう証券ビジネス、マイナンバーサービスが低調

だいこう証券ビジネスは、野村総合研究所の子会社で、証券会社の設立支援コンサルティングや、金融商品取扱業務、証券バックオフィスの代行サービス等を行っている。

同社はマイナンバー、NISAなどの制度対応業務も実施している。4月8日、マイナンバー関連業務の利用企業が想定を下回り、固定費負担などが重荷となったとして、2016年3月期通期の連結業績予想を下方修正した。純利益予想は従来の6億円から3000万円と20分の1に減少。これによりPERが大きく上昇した。

中越パルプ工業、次世代素材のプラント新設で注目高まる

中越パルプ工業は富山県高岡市に本社を置く中堅製紙会社。3月末に次世代の機能性素材として注目されているセルロースナノファイバーの第1期商業プラントを建設すると発表し、株式市場で買いを集めた。セルロースナノファイバーはパルプと水だけで製造した素材で、鉄より軽くて強い。自動車部品などへの使用が期待されている。川内工場(鹿児島県薩摩川内市)に約12億円を投資する。2月に業績予想を下方修正しているため、PERが高水準となっている。(ZUU online 編集部)

※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。

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