(写真=Thinkstock/Getty Images)
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クールビズが始まったのは2005年夏。小泉純一郎総理の「夏場の軽装による冷房節約」との号令のもと小池百合子環境大臣下の環境省主導でスタートした。以来、クールビズ関連は、ビール関連、エアコン関連、水不足関連、猛暑関連などとともにサマーストックの代表となっている。

シーズンストックとは、季節要因で企業業績や株価に影響がでやすい銘柄のことである。ビールで考えると分かりやすい。ビール会社の収益を四半期毎で見ると、暑い夏(7-9月期)と忘年会のある冬(10-12月)の売上比率が高く、営業利益率も高い。猛暑だとこの傾向が加速する。夏の売上増は収益拡大に直結し、ポジティブなニュースフローも増えてくるため、株価も反応することが多い。したがってサマーストックは、猛暑の時だけでなく市場が夏枯れでテーマが無いときなどに注目される傾向がある。

クールビズの2016年を占う

2016年も5月1日からクールビズの期間が始まる。今年のクールビズを考える上で重要なポイントは3つ。今年は9月までと期間が1ヶ月短くなること。クールビズの浸透で特需効果は薄まりつつあること。そして、ファッション性と機能性を両立させたジャケットやスーツなど、「よりフォーマルでちょい高」になり単価が上がるとの予測がある。

環境省は、今年のクールビズの実施期間を5〜9月にすると発表した。昨年までより1ヶ月短い。クールビズが10月までになったのは2011年の東日本大震災による電力不足を受けてからだった。ただ実際には、10月は夏日が少ないことから短縮に踏み切った。

今夏の天候はどうなる…?

ただ、1ヶ月短いならクールビズ関連商品を購入しないということもないだろう。大事なのは今年の夏の天候だ。2015年の夏は天候不順でクールビズ関連も不発だった。気象庁が4月25日に発表した今年5-7月の3カ月予報では、南からの暖かい空気に覆われるため、気温も降水量も昨年並みかそれ以上となりそうだ。特に西日本は気温が平年を上回ると予想されている。株式市場でも、クールビズ関連商品は単価の上昇と暑さから注目される局面がありそうだ。

クールビズの普及により、すでに特需効果は薄まりつつある。2015年夏に「ユニクロがクールビズと決別した」とのニュースが話題になった。GW前に「スーパークールビズ特集」と銘打ったちらしを打ったがまったく集客が出来なかったことで、柳井会長兼社長はマーケティングとしてのクールビズと決別することを決断、それ以降ユニクロではチラシやHPに「クールビズ」の文字を入れていない。特需商品というよりも、通常の季節商品として定着したと考えるべきだろう。ただ、季節商品としみても、クールビズ市場は2000億円前後といわれ無視はできない。

クールビズ関連は、スーツ、アパレル、素材、下着、百貨店

クールビズは、特に導入初期においては特需が発生したため、数多くのアパレルメーカーなどが関連銘柄として挙げられていた。ただ、今は季節商品となってきたのであまり関連銘柄を拡げない方が良いだろう。2015年の「爆買い」も小売りセクター全体に拡げすぎて焦点がボケた。主にクールビズが収益に貢献しそうなのは、スーツ、アパレル、素材、下着、百貨店の業界だ。それぞれの注目銘柄を紹介しよう。

【紳士用スーツ】青山商事、帝人、AOKIHD、

青山商事 <8219>は、紳士服専門業界首位でクールビズでは常に材料視される。HPでも「お洒落に涼しく進化する涼感機能!」と青山のクールビズのキャンペーンを展開中。今年は、クールビズの新主力商品として持ち運びやすさを高めたスーツ「ゼロ・リンクルビズ」を発売した。帝人<3401>が開発した「ソロテックス素材」を使い、持ち運びやすいだけでなく、自宅の洗濯機で洗え、通気性やストレッチ性なども高い。青山商事の月次の既存店売上高は、クールビズの指標になることが多く注目だろう。

AOKI HD<8214> は、紳士服専門業界2位。サマースーツを年3万枚販売することを目指している。就活用としてもクールビズスーツの需要は高い。郊外型の「AOKI」のHPでは「本当に洗えるスーツ」、「本当にノーアイロンシャツ」としてクールビズフェアを行っている。AOKIがショッピングモールで展開している「ORIHIKA」でも、「2016年クールビズスタイル」として男性用、女性用のちょっとフォーマルなクールビズを展開している。

【アパレル】ファーストリテイリング、東レ、旭化成

ファーストリテイリング <9983>は、昨年「クールビズ」と決別したため、ちらしやHPではクールビズのコピーは使っていない。ただ、日本で首位、世界4位のアパレルSPAとして関連銘柄であるのは間違いない。ユニクロが今夏も力を入れる機能性インナーのエアリズムはクールビズの代表的な商品だ。ユニクロは、今シーズンに向けてエアリズムの新商品を発表しており、エアリズムの累計売り上げは2億5000万枚になる見込みだ。エアリズムの男性用は東レ<3402>、女性用は旭化成<3407>との共同開発だ。 クールビズ、サマーストックの関連銘柄としてユニクロの既存店売上には注目しておきたい。

【素材】三陽商会、丸井、レナウンなど多数

東レ<3402>は、自社の夏用機能性素材を使い、アパレル大手と共同でクールビズ専用ブランド「クールアベニュー」を立ち上げている。

AOKI<8214>、三陽商会<8011>、丸井<8252>、レナウン<3606>などと共同企画でクールビズブランドを展開中だ。今年は、三陽商会の「ザ・スコッチハウス」などが新ラインナップに加わった。2016年はクールアベニュー全体で、前年比2割増の30億円の売り上げを見込んでいる。また、ユニクロと男性用「エアリズム」を共同開発していることは有名だ。


ゴルフウェアで培った吸水速乾性の高い機能性素材「フィールフィット」を、AOKI HD<8214>の夏用シャツに向けて供給している。


帝人<3401>は、汗冷えを抑える機能性繊維「トリプルドライカラット」で需要を開拓している。ランニング競技用の素材だったが、紳士服向けへの展開をはかる。今年は青山商事<8214>のクールビズスーツの新製品「ゼロ・リンクルビズ」に素材採用された。東京シャツ向けの夏用素材としても提供しており売上が伸びているようだ。

旭化成 <3407> は、ユニクロと女性用のエアリズムを共同開発するなど、下着やポロシャツなど汗をかいても肌のドライ感を保てる吸水構造の繊維素材を展開している。

【下着】 グンゼ、ワコールHD

グンゼ<3002>は、自社でも「SEEK」ブランドで速乾性の下着を展開しているが、百貨店向けとして、高級エジプト綿を使った夏向けの紳士肌着を共同開発している。ワコールHD <3591>は、吸汗・速乾性の高い綿100%の紳士肌着の売れ行きが好調。

【百貨店】 三越伊勢丹、高島屋

三越伊勢丹 <3099>は、百貨店首位、伊勢丹メンズ館が男性用アパレルに強いこともありクールビズ関連としてみられている。今年は、「ちょい高」のクールビズのトレンドを見込み、ウールリネン素材を使ったイージーオーダーのジャケットやスーツを販売している。

高島屋 <8233>は、今年も紳士服売り場で「クール・クールビズ」コーナーを設けジャケットやシャツの販売に力を入れている。帝人<3402>と商品化した高島屋限定クールビズ用ジャージー素材のジャケットなどを売り出している。グンゼ、ワコールと共同開発した機能性肌着なども売り出している。

平田和生
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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