昨年までの欧米の盛り上がりを急速に追い上げているアジアFinTech。現時点ではほかのアジアFinTechを一歩リードしているシンガポールを筆頭に、日本、韓国、台湾、ベトナムといった国・地域が、様々なテクノロジーを屈指して独自のシステム開発に励んでいる。

しかし昨年まで順調だった中国で風向きが変わったようだ。米メディアには既に1000社以上の中国FinTech企業が姿を消していると報じられており、その背後には「質の悪いスタートアップ」が廃業を余儀なくされたほか、FinTechの過剰発展と失脚を懸念しはじめた中国政府の圧力があるといわれている。

金融産業の新規会社設立登記が禁止に

アリババ・グループ・ホールディングと大手ネット会社、Tencentの共同設立によるオンライン保険会社、Zhong An、ローン決済対応のオンライン小売会社、qufenq、P2P融資会社Lufaxなど、近年目覚ましい発展が海外でも高く評価されている中国FinTech。

アリババの傘下、アント・ファイナンシャル・サービス・グループのAlipayは、米決済産業を独走するPayPalの3倍の需要を誇る巨大企業に成長した。

またKPMGが昨年末に発表した「FinTech50」に、合計7社がランクインするという(そのうち3社がトップ10入り)快挙を成し遂げている。しかしその水面下では、ずさんな経営で破産に走るFinTech企業も多発しているようだ。

FinTechの暴走を案じる中国政府は、融資基準のゆるいクラウド融資会社に圧力をかけ始めただけではなく、金融産業に関しては新規会社設立登記を禁じるという恐恐手段にでた。立地条件の悪い場所への移転を強いられた企業もあるという。

中国政府は今後もアリババのように国に利益をもたらす企業を支援すると同時に、経済基盤をゆるがしかねない「基準以下のスタートアップ」を厳しく取り締まる意向を示している。

中国がFinTechにブレーキをかけた今、アジアFinTech全体の勢いまでもが失速しなければ良いのだが……。( FinTech online編集部

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