5月第4週の東京株式市場は、前半は弱含み、後半は切り返した。伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)で安倍首相が、「リーマンショック」の名を挙げながら、世界経済が危機に陥るリスクを指摘した。財政出動や消費税増税先送りなど政策への期待感から、日経平均株価は上昇し、1万7000円台回復が視野に入る水準まで戻した。

今後は米ISM製造業景況指数、米雇用統計など、海外の経済指標に一喜一憂する展開となりそうだ。ただ、消費増税の先送りがほぼ固まり、目先的には利益確定売りも出やすい地合いにある。

低PER銘柄はエネルギー・地銀関連が目立つ

今回は東証1部のPER(予想株価収益率)下位10社の顔ぶれを見てみよう。

(1) タカタ <7312> 2.69倍
(2) 富士石油 <5017> 2.75倍
(3) コスモエネルギーホールディングス <5021> 2.78倍
(4) 東京TYフィナンシャルグループ <7173> 3.08倍
(5) 広島ガス <9535> 3.83倍
(6) カメイ <8037> 4.35倍
(7) 千葉興業銀行 <8337> 4.38倍
(8) 大末建設 <1814> 4.61倍
(9) グランディハウス <8999> 4.83倍
(10) 東京機械金属 <6210> 4.86倍
※5月27日、PERは連結ベース、会社予想EPSを基に算出

上記の各銘柄は、EPS(一株あたり利益)に比べて株価が2.69~4.86倍までしか買われていない。低PERに甘んじている要因には、近い将来に予想EPSの低下が見込まれるケースや、堅実な業績だが将来の成長期待が乏しいケースが考えられる。投資判断には、銘柄別にPERが低いまま放置されている要因をよく吟味する必要がある。

タカタ、リコール問題が深刻化

それでは、上記ランキングからタカタ、富士石油、東京TYフィナンシャルグループを取り上げたい。

タカタは自動車部品メーカー大手。欠陥エアバッグのリコール問題が解決するどころか、一段と深刻さを増している。5月27日には、国土交通省がタカタ製エアバッグについて新たに約700万台がリコールの対象になると発表した。国内でのリコール対象台数は、のべ2000万台前後まで膨らんだ。また、海外でも自動車メーカー各社が新たな追加リコールを届け出ている。

タカタをめぐっては26日、米投資ファンド大手KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)が支援する方針と報じられ、一時ストップ高となった。しかし、リコール費用の負担など不明確な点が多く、問題の長期化によるタカタの経営体力悪化を打ち消すほどの好材料とは言い難い。

富士石油、原油価格回復で買い戻し

富士石油は、原油開発のアラビア石油と精製の富士石油が統合した石油関連会社。旧社名はAOCホールディングス。

2016年3月期まで営業赤字、最終赤字が続いてきている。BPS(一株あたり純資産)が612円(2016年3月期)であることで、株価は300円台で踏みとどまっている。

2017年3月期は、原油価格の急落で発生した在庫評価の悪影響の解消や、定期修理がないことによる販売数量増により、会社予想は営業損益、最終損益とも黒字転換を予想する。原油市況の回復もあって株価上昇への期待が強まり、買い戻しが目立っている。

東京TYフィナンシャルグループ、新銀行東京を吸収

東京TYフィナンシャルグループは東京に本社を置く地域金融機関の持ち株会社。2014年に東京都民銀行と八千代銀行が統合して発足した。2016年4月には新銀行東京も傘下に収め、将来の3行統合も検討する。中小企業や個人への融資が経営の軸となっている。

足元では株価はやや落ち着きがない動きとなっている。決算を発表された5月13日に10%超下落したが、翌週の17日からは、ほぼ一本調子で上昇している。売り板、買い板とも薄く、ちょっとした売買で株価が上下に振れやすい。(ZUU online 編集部)

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)