先進国ひっぱるのはやはり米国

米国については、1-3月期の成長が予想を下回ったことや、米ドル高の影響などから、16年の成長率を2.2%に0.2%下方修正。ただし、2017年の成長率は2.5%の見方を継続し、引き続き先進国の成長を牽引するとした。

ユーロ圏については、1-3月期が内需主導で力強い成長となったことから、16年は1.6%に0.1%上方修正。しかし、17年の成長率は、英国のEU離脱に関する不透明感の強まりが、企業景況感や消費者心理に影響を与えるとして、1.4%に0.2%下方修正した。

日本については、円高の進行が悪影響を与えるとして、16年の成長率を4月時点の予想の0.5%から0.3%に下方修正。ただ、17年については消費税率引き上げの延期を背景に、4月予想の▲0.1%のマイナス予想からプラスの0.1%に上方修正した。

IMFは、ユーロを脱退する英国の成長を16年1.7%増、17年1.3%増と見込んでいる。ユーロ圏も上記の通り、1.6%、1.4%の予想。日本の低成長はBrexit懸念で揺れる欧州よりも低く、G7の中で群を抜いている。 景気下振れの環境下でさらなるリスクを見ておこう。

日本はユーロ圏以下の低成長、新興国に次ぐ財政赤字

世界経済にとって、拡大する財政赤字が最大の課題だ。IMFの予想する、2016年の主要国の財政黒字/赤字予想と2016年の予想GDPの対比では、最大はサウジアラビアでマイナス▲13.5%になっている。次いでブラジルが▲8.7%、インドが▲7.0%、アルゼンチン▲6.4%となり、日本は5位で▲4.9%だ。

米国は▲3.8%の見込みで、財政破綻が懸念される欧州は、比較的GDP比では高くなく、フランス▲3.4%、英国▲3.2%、イタリア▲2.7%、ドイツ+0.1%となっている。

さらに、IMFでは英国のEU離脱に関する交渉が順調に進まない場合、世界経済の下振れリスクとなるとしている。また、欧州の銀行システムの安定性に関するリスクや、先進国・地域内での政治的分裂といったリスクもあげている。

全体的に低調な世界経済だが、中国とインドを筆頭にASEAN諸国が牽引していく形になりそうだ。(ZUU online編集部)

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