中国で地方紙に「来年は週休2日半が有望」という見出しが躍った。中国第2の人口大省である山東省は、地方独自の休日を付加することを模索している。そして条件の整った地方と企業から、夏季における週休2日半、金曜午後と土日休み)を実施することをサポートしていくと発表した。もちろん中央の意を受けてのことだ。
伝統的な休日以外に新たな休日追加も可能に
2015年8月4日、国務院が「旅游投資と消費を促進させる若干の意見」を発布し、休暇を取りやすくし、旅行消費の需要拡大を図ることを明確化した。そのため労働者の有給休暇取得を地方政府は制度整備で後押しするべしとしている。また伝統休日(国慶節以外の祝日)に地方独自の活動を結合させ、休日を追加することも可としている。
地方政府は需要、供給の両面から観光産業を育成せよということだ。時代は変わった。中国の労働者はよく働いた。創意工夫を凝らし職能にこだわらないチームワークを見せる、顧客本位を貫くといった日本式とは性格は違う。
しかし残業を厭わず働き、頻繁に転職しステップアップを図るなど、彼らの活躍が高度経済成長を支えたのは間違いない。その彼らが、いよいよ本格的に制度上から保護される段階に到達した。最低賃金規定すらなかった時代を知る身には、とても感慨深い。中国の安い労働力を利用して、先進国市場に商品供給するモデルの完全終えんである。
重要な省も参加
すでに河北省、江西省、重慶市、甘粛省、遼寧省、安徽省、陝西省、福建省、浙江省、広東省などが週休2日モデルの実施を表明していいる。福建省以降は重要な省ばかりだ。中央の表明から1年経過して本格的に動き出したことになる。
労働者の声は「期待満々だが楽観はしていない」とまとめられている。27歳、在勤4年という女性の話を紹介している。日用品販売会社で朝8時30分から夕方6時まで働き、週休は日曜日のみ。春節、中秋、国慶節などは特別に人出が多く、気の休まることがない。そこで5日ある有給休暇を使い年1度だけ旅行に行く。週休2日で1日休息、1日外出を理想とする彼女にとって、地方政府による週休2日半の推進は大きな後押しと映っている。現実にはには週休2日も達成されていない。
しかし効果は未知数
政府機関と国有企業はどの程度になるかわからないが、取り入れるのは間違いない。それがこれらの既得権益組織の合理化に繋がればプラスに働くだろう。また観光地を抱える都市にとって期待は大きい。全体の効果は民間企業の動き次第だ。中小企業には死活問題である。
とはいえ、このような改革案は、中国崩壊論に押され見逃されがちだが、次々と実行に移されている。これも現代中国の一面である。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)
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