すさまじい速度で時代が変化を遂げている近年、企業のトップに立つCEOの多くが、先行きの不透明さに様々な懸念を抱えている。そんな実態が最新の動向調査から判明した。

世界83カ国・地域、1400人以上のCEOの79%が4年連続で「規制の強化」を最大の懸念として挙げているほか、国際的な影響をおよぼす「ジオポリティクス(地政学)」への懸念が74%まで高まっている。「テロ活動(65%)」や「サイバー攻撃(61%)」にも、敏感になっているようだ。

世界経済や事業成長への期待は、3年間で17%減

各国のCEOの見解をまとめて毎年発表しているPWCによると、最新版(2016年)ではCEOの懸念材料が多様化しており、規制問題から為替変動、環境問題から消費支出まで、心労の種はつきない。

各国でますます締めつけが強くなる規制に頭を悩ますCEOが多いが、世界情勢の不安定さに起因する政治的、軍事的、経済的影響も気がかりのひとつとして急浮上している。

「為替の変動(73%)」に関しては、昨年8月に市場を大混乱におとしいれた中国株の大暴落に加え、12月に実施された米利上げが、大きな不安材料となっている。

そうした不安定な情勢に対する「政府の対応」に71%が、「租税負担率の引きあげ」に69%が不満を抱えている。

事業に関しては「消費支出と変化(60%)」と「事業への不信感(55%)」が挙げられている。

2013年と比較すると11%から18%も懸念が強まっていることから、消費者側のハードルが高くなり、企業により多くのものを求めるようになった近年の傾向がうかがわれる。

フランス、アフガニスタンなどで相次いだテロの余韻と新たな悲劇への不安、歯止めがきかないかのような勢いで急増するサイバー犯罪は勿論、環境問題(55%)なども問題視されており、企業を取り巻く環境はさらに複雑化している。

これらの背景を考慮すると、「今後1年間における、世界経済や事業成長に自信がある」と回答したCEOが減少傾向にあるのは当然だろう。

2005年のピーク時には52%だった事業成長の展望が、今年は35%まで落ちこんでおり、世界経済成長への期待も、2014年の44%から一気に27%まで急落した。

多くの企業が事業改革や組織再編で対応策を練っているが、CEOにとっては正念場の年となりそうだ。(ZUU online 編集部)

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