中国やシンガポールを筆頭とするアジア国に、欧米の一流経営大学が競うように進出し始めている。

ESSEC、INSEAD、EMLYONといったフランスの一流経営大学から、米イェール大学、スペインのESADEまで、国際レベルで通用する人材教育に目覚めたアジア市場は、これらの経営大学にとって絶好のビジネスチャンスとなりそうだ。

中国企業が「優秀な人材育成の重要性」を認識

中国とシンガポールの国際化への熱意は、アジア圏の中でも目を見張るものがある。

シンガポールにはひと足先に進出していたフランスの名門、エセック・ビジネススクール(ESSEC)が、今年5月に新キャンパスを開設したほか、INSEADも4400万ドル(約45億2364万円)を投じて市場開拓に乗りだした。

同じくフランスのHEC、米国のイェール大学マネジメントスクールも、シンガポール国立大学との提携で、複数学位プログラム(両校のプログラムを5割づつ修了するシステム)を提供するなど、シンガポールは国際化を目指す経営大学生にとって、魅力的なMBAを取得するチャンスであふれかえっている。

ESSECのジェーン・ブランクァー校長は「シンガポールはアジア経済の通過地点である」とし、シンガポールがアジアを代表する経営大学都市として、今後さらなる成長を遂げると期待している。

勢いづいたフランスの経営大学は、中国にも進出。EMLYON経営大学院は上海の華東師範大学との提携により、今年中にEMBA(エグゼクティブ向けのMBA)コースや、量的金融、ビジネス分析などの専門マスターコースを開設予定。2020年までに1500人の生徒を集めることを目指しているそうだ。

そのほかスイスのIMD経営大学のEMBAプログラムを北京の長江商学院で、スペインの ESADEのMBAは北京大学光華管理学院で取得可能になっている。

早くから国際化に熱心だったシンガポールとともに、中国での人材育成が向上し始めた理由として、「企業が優秀な人材育成の重要性を認識したこと」が挙げられている。

世界最大の人口を誇る中国で経営学が浸透すれば、一躍巨大産業に発展する可能性も十分に考えられる。

国際色あふれる環境で学ぶことは、生徒にとっても多面的な恩恵をもたらすだろう。教育水準が引きあげられるだけではなく、異なる文化や言語、思想と交流を深める機会が、人間的な成長の促進につながる。

人間性に深みのある、国際レベルのビジネス知識を身につけた人材を増やすことができれば、各国の経済発展に貢献するはずだ。(ZUU online 編集部)

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