アジアの金融都市として急成長中のシンガポールが「優秀な金融犯罪防止対策が整った都市」として、パリに拠点を置く仏政府系機関、マネーロンダリング金融活動作業部会(FATF)から高評価を受けた。

しかし改善点も指摘されていることから、シンガポール金融管理局(MAS)は脆弱性が見られる領域の改善に全力を注ぐ意向を示す一方、「完全に公平な評価とはいえない」と過小評価に若干不満げな様子だ。

「外部機関による監査は重要」エコノミストはポジティブな見解

FATFが発表したレポートによると、シンガポールではマネーロンダリングやテロ活動資金の移動を効果的に防止するための、堅硬なフレームワークが構成されているそうだ。政府が国内・国外の金融犯罪防止に積極的で、国際的な提携業務の受けいれ体制も整っている。

シンガポール3大銀行のひとつ、オーバーシー・チャイニーズ(OCBC)銀行の法規制コンプライアンス部門責任者であるロレッタ・ユエン氏は、シンガポールの突出した金融犯罪防止構造には、「MASと銀行間のネットワークが大きく貢献している」と説明。

金融犯罪の複雑化が加速している近年、「金融機関は常に新たな防止策を打ちだし、早急に対応する必要がある」とし、シンガポール警察庁商務部の資金情報機関(FIU)がより進化したデータ分析ツールの開発に取り組むなど、今後さらに防止策を強化していく姿勢を見せている。

マレーシア政府系投資会社、マレーシア・デベロップメントの不正をめぐる事件で、今年5月にスイスのプライベートバンク、BSIのシンガポール支店に閉鎖命令をくだしたMASだが、事件がいまだ捜査段階にあることを考慮して、今回のFATFによる評価対象項目からは除外された。

こうして全般的に高評価を得たレポートにも関わらず、シンガポールが採用している「国際安全法」がFATFの評価基準に該当していないなどを理由に、シンガポールの金融機関側は「過小評価」と受けとめているようだ。

評価の公平性はともあれ、マレーシアのCIMBプライベートバンクのエコノミスト、ソン・セング・ウン氏は、「FATFのような外部機関による監査は、シンガポールが金融都市として成長するうえで重要な指針となる」と、長所や短所を第三者の視点から改めて見直すという観点にポジティブな見解を示している。(ZUU online 編集部)

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