いつの間にか誰もが知る単語となった「ED」(Erectile Dysfunction)。勃起不全と訳されるが、日本には患者が推定1800万人いるという。高齢者を含めた成人男性の3人に1人という計算となる。製薬会社によっては、成人男性の24%、50-60 代では2人に1人がEDという指摘をしているところもある。

多くの人が受診をためらう理由

いわゆる男性の性機能障害の一つだが、EDとはどんな症状や状態を指すのかと言えば、「勃起が十分でないために満足な性行為ができない状態」のこと。だが実はタイプはさまざま。まず初期症状として「中折れ」がある。勃起しても途中で持続できなくなる場合だ。これもEDの一種といえる。ほかにも、まったく勃起しない重症タイプ、たまに勃起しない軽症タイプ、なかなか勃起しにくいタイプ、性欲はあり性的に興奮もするがまったく勃起しないタイプ--細分化するといろいろなパターンがある。

EDを自覚しながら実際に医療機関で相談した人はわずか4.8%という低水準だ。この数字はED治療先進国のアメリカと比べて約10分の1だと言う。

なぜ医療機関に相談しないのだろうか。ちなみに2009年のファイザーの調査では、1カ月に1回以上性行為をしている男性の割合は、40代の61.1%、50代の62%、60代以上の57.3%だという。またバイエル薬品の「ED(勃起障害)に関する現代人の意識調査結果 2016 年版」(20歳から69歳までの男女を対象にした調査)によると、7割近くが理想的な性行為頻度について、「1カ月に1度以内」を選んでいる。一方で直近1年間の性行為の頻度は、「1カ月に1度以内」と回答したのは全体の約4割にとどまっている。

その多くが「恥ずかしい」という思いからだろう。前出のバイエル薬品の調査では、「あなたがEDだった場合、あなたは治療することにためらいを感じますか?」という質問に「ためらいを感じる」と答えた人が半分以上いた。

ためらい感じる理由(複数回答)では、「人に知られるのが恥ずかしい」「治療にお金がかかりそう」などの回答が多かったが、少ないもののなかには「自然に治ると思うから」「性行為の機会がないから」というものもあった。

ただEDは、最近では心血管疾患・生活習慣病との密接な関連性が指摘されている。また男性が自覚できる生活習慣病の初期症状であると考えられている。むしろ誤解や偏見を解いて受診すべきだろう。

EDは心血管疾患や生活習慣病の指標

勃起は男性性器に大量の血液が流れ込むことで起こる。したがって血管自体に動脈硬化といった障害がある場合は男性性器の血管(陰茎動脈)が十分に広がらない。そのため流れ込む血液量が減り、勃起が難しくなる。

男性性器の血管は、心臓や脳の動脈に比べると極めて細い。したがって動脈硬化に伴う症状が早期から現れやすい。

そのため、EDは心血管疾患や生活習慣病の指標といわれている。糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病になるとEDになるリスクが高くなる。

EDの悩みは年齢や性別と関係なく、多くの人が抱えている問題だ。加齢だけが理由ではないし、ストレスや不規則な食事あるいは運動不足、過剰な飲酒あるいは喫煙といった日常の生活パターンが要因となる。

だがEDになって、勃起力を取り戻そうと病院にかかる人は多いが、生活習慣病の現れと見て、総合的な治療を考える人はあまりいないという。たとえ性行為の機会がないという人でも、自分の体のために受診したほうがよさそうだ。

必ず触診がある訳ではない

勃起不全の改善でよく耳にするのが「バイアグラ」などを使った投薬治療だ。現在ではこれが一般的な手立てとなっている。勃起不全の治療薬は何科でも処方は可能だが、専門知識があるのはやはり泌尿器科や勃起不全専門のクリニックだろう。

女性が婦人科で見てもらうように、男性もある程度の年齢になったら泌尿器科への受診は必要ではないだろうか。排尿障害や前立腺肥大症といった泌尿器系の病気を患いやすくなってくる。勃起不全と合わせて治療の機会にもなることから、かかりつけの泌尿器科医を見つけておくと良い。

病院での治療は恥ずかしいことなどない。勃起不全の診察というと、恥ずかしい検査があるのではと想定しがちだが心配無用だ。診察は問診が中心で特別な問題がない人は精密検査を行うこともない。詳しい検査になれば別だろうが、診察で必ず性器を見られ、触診されるというわけではないようだ。(ZUU online 編集部)

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