「週1時間余分に眠ると賃金が最高4.9%アップする」との興味深い調査結果が、米マサチューセッツ州のウィリアムズ大学から発表された。逆に「週1時間の睡眠不足は短期的には0.5%、長期的には4.5%の賃金ダウン」だという。

良質の睡眠が生産力の向上につながるというごく当たり前の理論だが、この説が万人に該当するとした場合、米国人の3分の1以上が睡眠不足と報告されている近年、賃金低下が深刻化することになりそうだ。

6時間睡眠を2週間続けると、2晩連続徹夜したのと同じ影響が

賃金は職場での自分の能力に対する評価を反映している。後から入社して同じポジションで働いているほかの従業員が、いつの間にか給与をたくさんもらっているーーという経験がある人は、不満を唱える前に自分の勤務態度に問題を見直してみることも重要だろう。
一般的に昇給できる人は、上層部を納得させるだけの実績をあげている場合が多い。職場でもハキハキ明るく振る舞い、仕事への意欲を感じさせる空気を振りまいている。人脈も広く、周囲から信頼と評価を受けているほか、新しいアイデアや改革にも積極的に取り組む姿勢が見られる。

「寝る時間をけずってでも働いた方が、評価や所得増額に貢献するのでは」と考えがちだが、いくら頑張っても評価されないジレンマに苦しんでいるのなら、意外な原因はこのあたりに潜んでいるのかも知れない。

ウィリアムズ大学の研究者はこれらの「昇給、出世のルール」が、良質の睡眠から創出されると結論づけている。ぐっすり眠れた翌日はやる気がわき、快適に過ごしやすいということは誰もが経験ずみだ。

反対に睡眠不足が続けば集中力が散漫になり、うっかりミスなどのトラブルが続出。仕事仲間と会話を交わすのもわずらわしく感じ、仕事対する意欲が低下する。昇給どころかクビすらも危うい状況におちいりかねない。

ウィリアム大学の調査では、米地域の日昇・日没時間と週給、睡眠時間などを年代や性別、人種別に比較し、差異を測定している。それによると日没時間が早い地域ほど平均睡眠時間が長く、睡眠時間の長い地域の方が平均給与が高いというデータが弾きだされている。

一般的な成人に推奨されている睡眠時間は、年齢層によって異なるものの約7時間。日本や米国を含む複数の調査結果から、睡眠時間7時間前後の層の死亡率が最も低いことも報告されている。また6時間睡眠を2週間続けた影響は、2晩連続で徹夜した疲労感に匹敵するそうだ。

米国の3分の1の成人が7時間以下の睡眠しかとっていないという現状は、健康面でも所得面でもマイナス効果にしかならないということになる。米統計サイト「Statista」の2016年のデータでは米国の平均睡眠時間は7時間52分となっているため、寝過ぎの人も極端に多いと考えられる。日本人の平均睡眠時間は7時間30分11秒だが、こちらもあくまで平均時間であるため要注意だ。(ZUU online 編集部)

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